アップルとシスコシステムズが協力できない理由--「iPhone」商標問題の深層を探る - (page 2)

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、佐藤卓、長谷睦、編集部2007年01月12日 21時32分

 Bajarin氏はさらに、Appleは、同社のiPhoneに搭載したWi-Fi接続機能で、VoIPを使った通話ができるとは述べていないと語る。実際、AppleのiPhoneには、Skypeなどの消費者向けVoIPクライアントはダウンロードできないという。

 「iPhoneはVoIP電話ではないと、Appleは強く主張している。同社は、これが携帯電話であって、VoIP電話ではないことをはっきりとアピールしたいようだ」とBajarin氏は述べた。

 そうだとしても、今後AppleがVoIP機能を搭載するかどうかは、はっきりしていない。ただし、Ciscoと緊密な相互運用契約を結んだ場合、Cisco以外の他社の技術や、Appleが独自に開発する技術を今後統合していく計画が台無しになる、あるいは制限される事態を招きかねないとAppleは考えたのではないか、とBajarin氏は推測している。

 以前から、Appleは強力な提携関係を結ぶ企業を選ぶにあたっては、非常に慎重だった。

 「Appleは、自社製品の価値低下を防ぐため、製品の動作環境を自らコントロールしたがる傾向がある。正直言って、AppleにiPhoneをVoIP電話にする計画があるとは思えない。だが、それを抜きにしても、Appleが特定の技術に縛られることを避けたい理由は分かる」とBajarin氏は指摘する。

 それとは対照的に、CiscoがAppleと密接に協業したい理由は明らかだ。たとえば、ユーザーがLinksysのWi-Fiホームネットワークを通じて楽曲などのコンテンツをダウンロードする際、LinksysのワイヤレスルータとAppleのiPhoneがスムーズに連携できるようにしたい、といったことが、Cisco側の思惑として考えられる。Forrester Researchのバイスプレジデント、Lisa Pierce氏によると、Wi-Fiは既に標準化された技術で、別のベンダーの製品を組み合わせても問題なく稼働するとはいえ、特定の製品間で相互運用性が確保されれば、それなりの優位性が得られる可能性はあるという。

 「相互運用性とは不思議なものだ。ある意味、これは立体駐車場にも例えられる。同じ標準技術を採用している製品でも、組み合わせた場合にどの程度うまく機能するかについては、さまざまなレベルがある。相互運用性が確保されていれば、実際に検証がなされ、双方の製品が最大の機能を発揮するよう改善されていることはわかる」(Pierce氏)

 しかし、Ciscoがさらに深いレベルでの統合を模索していたのではないか、と考えるアナリストもいる。Linksysでは、同社のiPhoneシリーズにSkypeおよびYahooのソフトウェアを既に組み込んでいる。Appleと同様の契約を結ぶことを、Ciscoが望んでいた可能性はある。そうなれば将来、Appleの音楽ソフトウェアの一部をCisco/LinksysのiPhonesに組み込むこともあり得ただろう。

 Ciscoは、Appleとより包括的な提携関係を結ぶべく、その第一歩を踏み出そうとしていたのかもしれない、とYankee Groupのバイスプレジデント、Zeus Kerravala氏は推測する。

 「わたしは以前から、AppleとCiscoが提携すれば大いに意義があると思っていた。Appleは、消費者(のニーズ)やユーザーのワークフローをよく理解している。一方、Ciscoはネットワークおよびインフラの分野で専門技術を持っている。両社が互いの強みをうまく利用すれば、強力な組み合わせになる」(Kerravala氏)

 ただし、Ciscoには、IBMやHewlett-Packardといった他の大手企業とうまく協業してきた実績があるものの、Appleがそうした大企業と異なっていることは留意すべき点だ。

 そういったわけで、AppleとCiscoの協業はありそうもないと、Kerravala氏は述べ、「AppleのDNAにはないことだ」と語る。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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