Cisco Systemsが、「iPhone」で商標を侵害されたとしてAppleを提訴したことを米国時間1月10日に明らかにした。Ciscoは、Appleが窓口会社を使ってiPhoneという名称の使用権を取得しようとしたことも、訴訟の対象としている。
Ciscoはカリフォルニア州北部連邦地方裁判所に訴状を提出し、Macworld Conference & Expo 2007でiPhoneという名称の新商品を発表したAppleが、意図的にCiscoの商標を侵害したと主張している。
訴状によると、AppleはiPhoneという名称の使用権の取得を幾度か試みたが、Ciscoに拒否されたため窓口会社を設立し、別の方法を使って権利を取得しようとしたという。
Ciscoのシニアバイスプレジデント兼ゼネラルカウンセルMark Chandler氏はNews.comの取材に応じ、CiscoとAppleは8日夜まで交渉し、両社がともにiPhoneの名称を利用できるようにするための合意の一歩手前までこぎつけていたという。Ciscoが提示していた条件のなかには、Cisco傘下のLinksysが提供するインターネットテレフォニー製品とApple製携帯電話の技術的な相互運用性を確保するというものがあった。Chandler氏は、相互運用性を確保することにより、両社の製品が対象としている顧客の混乱を軽減できると考えたことを明かしている。
Chandler氏によると両社は検討事項を2、3点だけ残し、8日の20時に打ち合わせを終えたという。そして翌9日、Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏はMacworldで講演し、「iPhone」を発表した。
Chandler氏は「製品発表前に条件に合意してもらわなければならないことを示してきた」と述べ、「許可なく名称が使用されることはないと信じていた。大企業が、自分に権利のない名称を使って新製品を発表するなんて、驚くよりほかない」と続けた。
Ciscoは新製品の発表後のAppleに対し、ただちに合意に応じるよう連絡したが、Appleからの回答は得られていないと、Chandler氏は述べる。
Ciscoは訴訟で、損害賠償と名称の使用差し止めを求めているという。
Jobs氏はiPhoneが自身の関わったプロダクトのなかで最もエキサイティングなプロダクトの1つだと述べる。Appleの歴史に残るこの新製品を発表する際、AppleはあくまでもiPhoneの名称にこだわった。Appleの広報担当Natalie Kerris氏は「Ciscoの商標権侵害訴訟はばかげている・・・Ciscoの商標は根拠に乏しいと考えている」と述べる。
Kerris氏は「VoIP製品でiPhoneという名称を使用している会社は既に複数ある。携帯電話でiPhoneという名称を使用するのは、われわれが初めてだ。Ciscoがわれわれに異議を唱えても、優位なのはわれわれだ」と続ける。
CiscoがInfogearの買収に伴ってiPhoneの商標を手に入れたのは2000年のことである。Infogearはカリフォルニア州レッドウッドシティに本社を置き、PCなしで容易にインターネットにアクセスできるコンシューマ向けデバイスを開発する新興企業だった。Infogearは1996年3月にiPhoneの商標を登録していた。Ciscoによれば、同社のネットワーキング部門であるLinksysは、2006年初頭からVoIPフォンの製品シリーズでiPhoneの商標を使用しているという。またLinksysは12月に新製品を追加し、iPhoneファミリを拡大していた。
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