用意はいいだろうか?PCにまた1つ、新しいインターフェースが加わる日が、すぐそこまで迫っているようだ。
そのインターフェースは「eSATA」(External Serial ATA、外付け用シリアルATA)といい、内蔵型のハードディスクドライブ(HDD)などを接続するのに使われてきた技術「SATA」を、外付けドライブ向けに拡張したものだ。Universal Serial Bus(USB)やIEEE1394(別名「FireWire」)とは違い、eSATA接続では内蔵HDD向けのSATAと同じ転送速度で外付けHDDとの通信が可能になるので、デジタル画像のアーカイブをバックアップしたり、デジタル音楽の保存や動画の録画したりするために追加で大容量のストレージを必要とするユーザーには歓迎されるだろう。
eSATAをめぐる当面の大きな疑問は、これがどの程度まで、また、どれほどの速さで普及するかだ。しかし、業界内の慎重派さえも、2007年に入れば少なくともハイエンドPCにはeSATAが組み込まれるようになると、楽観的な見方をしている。
「間違いなく、2007年にはハイエンド機の標準機能としての地位を確立するだろう。さらに2008年になれば、中核製品にも採り入れられていくはずだ」と語るのは、PCの売り上げで世界のトップランクにあるHewlett-Packardで、ワールドワイドコンシューマーPCマーケティング部門のマネージャーを務めるJohn Gleason氏だ。
増える一方の動画や写真、音楽といったデータの扱いに消費者が苦慮するにしたがって、USBよりもデータ転送スピードが速いeSATAのメリットがいっそう明確になっていくとも考えられる。「USBポート経由でテラバイト規模のデータをバックアップする作業は、信じられないほどの苦痛だ。そのため、eSATAのような高速ポートのへの需要が、今後は増えていくだろう」とRoger Bradford氏は話す。同氏はIntelのチップセットおよびグラフィックスマーケティンググループでストレージ関連部門の責任者をしている。
このように大きなメリットのあるeSATAだが、越えなければならないハードルもいろいろと存在する。
第1に、普及にあたってさまざまな企業からの支援を必要とする新技術の常として、卵が先かニワトリが先か、という問題がある。eSATAに対応するドライブが出回っていなければ、PCメーカーにとってポートを追加する価値はない。一方、eSATAドライブの売り上げは、主力クラスのPCにeSATAポートが組み込まれているかどうかに左右される。
第2に、ほとんどの人はそもそもeSATAのことを知らない。市場調査会社iSuppliでストレージシステムを専門とするアナリストKrishna Chander氏は「ある程度の教育を行う必要があるが、まだそういう動きはない。浸透するには少し時間がかかりそうだ」と述べる。
さらに、eSATAドライブの価格は、今のところ同容量のUSBドライブより50ドル程度高い、とIomegaでコンシューマープロダクト担当ゼネラルマネージャーを務めるAshley Domis氏は指摘する。たとえば、Iomega製外付けHDDは、320GバイトモデルでUSB接続なら149.95ドルだが、eSATA対応機種だと199.95ドルとなり、500Gバイトモデルの場合はUSBで249.95ドル、eSATAでは299.95ドルだ。ただし、eSATAドライブには、PCIカードとバックアップ用ソフトウェアが付属している。
SATAは、プロセッサやメモリなどの主要電子部品が搭載されたマザーボードとHDDを接続する規格で、長い間主流だった「パラレルATA」(現在は「PATA」と呼ばれている)技術を改良したものだ。PATAと比較すると、SATAの接続ケーブルは幅が狭く、より高速でデータを転送できる。
SATAの外付け機器版がeSATAだ。eSATAのコネクタはSATAとは少しだけ異なり、抜き差しによる損耗や静電気に耐える作りになっている。また、電気信号も若干強めで、ケーブルの長さを最大2mまで延長できる。SATAは1mまでしか対応していない。
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