カリフォルニア州マウンテンビュー発--コンピュータビジネスの未来に最も影響を与えたマシンを1つ選ぶとしたら、「Apple I」の名が挙がるのはほぼ確実だ。
そして、Apple Computerの共同設立者Steve Wozniak氏をはじめ、この革新的なApple Iの開発に携わったチームの4人が集まったら、いったい何が起こるかと言えば--1970年代に盛んに行われた、愛を語る集会の復活だ。
それが、米国時間11月4日に当地のComputer History Museumで見られた光景だった。この日、Appleの30周年を祝うパネルディスカッション「Apple in the Garage」に参加するため、シリコンバレーの大先輩から若手まで数百人が一堂に会したのだ。
正式には、Appleは2006年4月に30周年を迎えているが、第9回を迎える「Vintage Computer Festival」の一環として、Wozniak氏のほか、Appleの6人目の従業員Randy Wigginton氏、8人目の従業員Chris Espinosa氏、長年のApple従業員で最初のMacintosh開発チームメンバーのDaniel Kottke氏が4日午後に顔をそろえ、Apple立ち上げ当初の日々や、後世に多大な影響を与えた同社のコンピュータについて語った。
フェスティバルの主催者たち--カリフォルニア州のサンタクルーズ山脈にDigiBarn Computer Museumを開館したBruce Damer氏もその1人--は、2005年に「Homebrew Computer Club」の30周年を祝い、Wozniak氏はこのイベントにも参加していた。しかし一部の人々にとっては、今回のパネルディスカッションこそが、パーソナルコンピューティングの誕生を歴史的な視点で振り返るのにふさわしい節目となった。
Apple in the Garageでは、4名のパネリストが1976年のApple Iの開発や、その後継機である1977年の「Apple II」について語り、参加者の多くはそれを聞くだけでハッピーになった。
Damer氏はディスカッションの冒頭で、「Appleの誕生日パーティーにケーキを用意しなければ、われわれの面目が潰れると思った」と語り、実際にAppleの最初のロゴのデジタルプリントが飾られたバースデーケーキを持参した。
しかし、誰もまだケーキに手をつけないうちに、パネリストたちは、刺激的なAppleの歴史にまつわる思い出話に聴衆を引き込んだ。
たとえばEspinosa氏は、まだハイスクールに通っていたときにAppleで仕事を始めるようになった頃の思い出を語った。今もAppleで働いているEspinosa氏は、ハイテクの世界で著名な人たちといっしょに仕事ができることを幸運だと考えているという。
テクノロジのあり方に変革をもたらそうとしている「すごい人たち」と、「まだ自分が14、5歳の頃に、好きなことをしながら時間を過ごすのは本当に面白かった。14歳の少年がこんな風に日々を過ごせるなんてまずないということを、当時はよくわかっていなかった」と、Espinosa氏は語った。
Steve Jobs氏が今回のイベントに現れなかったことにがっかりしている参加者もいたが、Kottke氏はJobs氏と友達になった思い出を語った。2人は当時、オレゴン州ポートランドにあるリード大学の学生だった。Kottke氏によると、2人を結びつけたのは東洋哲学への関心で、Jobs氏は彼が取り組んでいたコンピュータのことは何も話さなかったという。
しかし、ある時Kottke氏はシリコンバレーに招かれ、Jobs氏とWozniak氏がAppleを立ち上げた有名なガレージのある家を訪れた。そこでKottke氏が初めて目にしたのは、Jobs氏の妹がテレビ番組の「The Gong Show」を見ながら数台のApple Iにチップを組み込んでいる光景だったという。
Wozniak氏は、初期のApple開発チームには電話がなく、Jobs氏が寝室からあらゆる仕事上の指示を出していたと語った。
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