--プリンタブルディスクを開発する上で、最大の問題点というのは。
熱ですね。プリンタブルディスクは各種プリンタを通してもデータ情報が破損しない、ディスク形状が変化しないという大前提がありますが、現在のプリンタは熱転写タイプ、インクジェットタイプともに画像を盤面に定着させる際、必ず熱が生じるんです。
それに対し、Blu-rayディスクは熱を加えられることで、プラスチックの基盤がそりやすくなってしまう。そのそりをどう押さえるかが、最大のポイントでした。
--御社ではDVDディスクでのプリンタブルも製品化されてらっしゃいますが、DVDとの違いはどこですか。
異なる点はディスク形状にあります。DVDは0.6mmの基盤を2枚貼り合わせた形状なのですが、Blu-rayは1枚の基盤から形成されています。貼り合わせタイプならば、上下の基盤をひっぱりあわせることでそりを抑えられますが、1枚基盤のBlu-rayでは、よりそりやすくなる。そこが一番の問題でした。
--その問題点をクリアできた要因は。
業務用のCD/DVD自動作成システムを手がける、Rimageと共同で開発できたことが大きかったですね。私どもディスクのプロフェッショナルであるTDKとプリンタの専門会社であるRimageがタッグを組むことによって、両方の問題点と特性を共有しながら開発できたのが製品化への足がかりになっています。
Rimageから発売予定のBlu-ray対応ディスク発行システム「Producer 8500BD」
ディスクメーカーからすると、ディスク性能が第一ですが、ハードメーカーのRimageでは印刷時の発色や見た目の美しさが重要になる。ハードウエア、ソフトウエアそれぞれの課題を突き合わせて開発したことで、両方のニーズを満たす強力なプリンタブルBlu-rayディスクが開発できたと思います。
--次世代と言われていたBlu-rayも、ハード、ソフトともに製品が出そろってきました。TDKにおける今後の展開はいかがですか。
先ほども申し上げましたが、多層ディスクや8cmタイプなど、技術開発ベースのものも数多くが平行して進んでいますし、実際の製品化においては、まだ発売メーカーが少ない2層Blu-rayディスクも製品発表済みです。Blu-rayがディスクのデファクトスタンダードであるという姿勢で、今後も意欲的に新製品発表、技術開発を行っていきます。
またプリンタブルに関しては、盤面印刷の高画質化やインクの速乾性、耐水性などが求められてくる思います。これらのニーズはDVDで培ったプリンタブル技術が生きてくるところですから、ディスク専業メーカーとしてのアドバンテージをいかしたいですね。
ディスク開発というのは、一歩一歩技術を積み重ねていくことで、常に最新性能のものが生まれてくると思っています。どれか一つを飛ばしても次世代の技術を具現化することはできない。Blu-rayディスクも一つ一つの可能性を確実にものにしながら取り組んでいきます。