フィオリーナ氏:HP追放は取締役会の「感情的な決定」

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年10月19日 08時00分
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 政治の世界ではよく、「タイミングがすべて」と言う。

 その点で言えば、Hewlett-Packard(HP)の元最高経営責任者(CEO)、Carly Fiorina氏のタイミングは絶妙だった。マスコミへの情報漏えい問題でHPが用いた調査手法の妥当性が耳目を集める中、米国時間10月10日、Fiorina氏の新著『Tough Choices』が発売された。

 10月9日、Fiorina氏はCNET News.comのインタビューに応じ、情報漏えいは問題について、HPの取締役会が機能不全に陥っていることを示す徴候にすぎないと語った。

 HPを追放されてから18カ月、Fiorina氏は今、自著の宣伝に取り組むかたわら、次の活躍の舞台を模索している。政界は有望な選択肢の1つだ。

 「もちろん、(政界入りも)検討するつもりです。公益に奉仕する仕事には以前から興味がありました」とFiorina氏は言う。

 Fiorina氏はインタビューの中で、HPの取締役会、自身の通話記録が監視されていた事実、依然としてビジネスの世界は男性中心であることなど、さまざまな事柄について自身の考えを語った。

--以前のあなたはジェンダーポリティクスや性別とキャリアの関係を論じることを避けておられるようでしたが、本書では女性であることが自身のキャリアに及ぼした影響を雄弁に語っておられますね。ビジネスにおいて、ジェンダーはどんな役割を果たしていると思いますか。

 CEO時代の私には、CEOの仕事をこなすことが求められていたはずです。それは個人的な事柄に重点を置き、個人的な話をすることではなく、会社にとっての重要事項を語り、その種の事柄に焦点をあてることでした。しかし、本書でも指摘した通り、ビジネスの世界はまだ人間を性別で区別しています。その結果、私は女性CEOとして、男性とは異なる経験をすることになりました。これは事実です。

--それとCEOの座を追われたことには、どの程度の関係があるのでしょうか。

 まず、私がHPを追われたのは実績とはまったく関係ない理由によるものだったということです。このことは本にも書きましたし、その後の出来事でも明らかになったと思います。私は突然の感情的な決定によってHPを追われました。事前には何の説明もありませんでした。

--本書では取締役会と取締役会内部の力学に多くのページが割かれています。HPの内部を知る人間として、情報漏えい調査の問題が明るみに出た時、どう感じましたか。

 このようなことが起きた理由と経緯にショックを受け、悲しい気持ちになりました。さまざまなレベルで正しい判断ができなくなっていたのだと思います。一方、この事件を機にHPの取締役会や一部の関係者が機能不全に陥っていることが明らかになりました。ある意味では、今回の事件は私がHPで経験したことを他の人々に理解していただく助けとなるかもしれません。

--捜査の結果、あなたの通話記録も調査対象となっていたことが分かりました。これを知った時、個人的にどう思われましたか。

 最初は怒りを覚えました。今はただ悲しいです。

--本書では、特に2005年1月のWall Street Journalの記事(編集部注:HPの取締役会がFiorina氏の権限縮小を目論んでいるという噂を報じた記事)を機に、情報漏えい問題に憤りを感じるようになったと書かれています。情報漏えい問題に関しては、あなたも取締役会と同じ気持ちなのでしょうか。

 取締役会から情報が漏れるのは、取締役会が機能不全に陥っているためです。これは解決すべき問題です。取締役が職責より個人的な問題を優先するなら、取締役会は機能しません。それがHPで起きていたことです。私は取締役会の機能不全を正すべく全力を尽くしました。情報漏えいは取締役会が機能不全に陥っていることを示す徴候であり、何らかの対策を講じる必要がありました。

 われわれは情報を漏らした人物だけでなく、漏えい源を突き止める方法にも重点を置きました。信頼と自由な意見交換がなければ取締役会は機能しません。もちろん意見の相違はあるでしょう。しかし、それは取締役会の内部に留めておくべきものです。

--多くの人は「これは日常茶飯事なのか、他の会社も同じようなことをしているのか」という疑問を抱いていると思います。問題は、HPが情報漏えい調査で使用した手法の一部なのでしょうか。それとも、あらゆる面で同社の調査は度を超していたのでしょうか。

 取締役会の調査は手法と戦術の点でも、根本的な問題、つまり取締役会が機能不全に陥っているという事実が見落とされているという点でも、きわめて不適切だったと思います。

--本書には取締役会に関するエピソードが豊富に記載されています。その1つがJay Keyworth氏とPattie Dunn氏の個人的な対立です。2人の対立は、その後の状況にどう影響したと思いますか。

 捜査の結果、取締役会の機能不全を引き起こした個人的な対立や問題の存在が明らかになりました。取締役間の対立は私が去った後、さらに悪化しました。取締役が個人的な問題を脇に置いておくことができないなら、取締役会は機能しません。

--しばらくは本の宣伝でお忙しいと思いますが、その後はどうされる予定ですか。

 まだ分かりません。慌ただしい日々ですが、自由を謳歌しています。本の仕事以外にも、企業の取締役を務めたり、さまざまな活動に参加したり、講演を行ったりしています。楽しいですね。フルタイムの仕事として、次に何をするかはまだ決めていませんが、いずれこれというものが見つかると思います。

--政界入りを検討される可能性はどのくらいありますか。

 十分にあると思います。

--政治の世界に興味があるのですか。

 公益に奉仕する仕事には以前から興味がありました。その気持ちはこれからも変わらないと思います。

--あなたがCEOを務めていた期間には委任状の争奪戦も起きました。好奇心からお伺いするのですが、HP時代に最も印象に残った出来事は何ですか。

 HPを停滞する企業から市場のリーダーに変身させるためには合併は不可欠でした。非常に難しい時期に、いくつもの難しい選択をしなければなりませんでした。IT不況、弱気市場、テロ攻撃、経済不況--絶望的な状況でした。しかし、必要に迫られて取ったこの行動が、率直に言えばHPを救うことになったのです。

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