フロリダ州北西部にあるオカルーサ・ウォルトン大学の管理運営を担当し心理学も教えるPam Gotcher氏は、図書館に本を返しに行く、食料品の買い出しをする、大学に通勤するといった、どちらかといえば平凡な自分の日常生活をとても熱心かつ楽しそうに語る。
だが、Gotcher氏の話には、1つだけ平凡とは言えない点がある。これらの行き帰りには、すべてハイテクスクーターの「Segway Human Transporter」(現「Segway Personal Transporter」)を使っているのだ。
「じつは、Segwayを3台持っている」とSegwayのファンサイト「Segway Chat」のまとめ役を務めるGotcher氏は熱心に話す。同氏は2002年からSegwayで「滑って(gliding)」いる--「乗る(riding)」というよりも、こう表現するのが好まれる。「初めて世に出た『i167(初代Segway)』のうちの1台と『p133』それに『i2』を持っている」と言うGotcher氏だが、中でもi167には一番思い入れがあるという。なぜなら、Segwayのイベント「Segfest」の初期の回で、Segway発明者のDean Kamen氏にサインを書いてもらったからだ。
Segwayが米国時間9月14日に発表したリコールについてGotcher氏に尋ねてみても、その陽気さは変わらない。Segwayが、米消費者製品安全委員会(CPSC)と共同で告知し、自主的にリコールを開始したのは、このハイテクスクーターが突然タイヤの逆回転を引き起こし、ドライバーが振り落とされる危険性があると判明したためだった。
このリコールは、約5年前の発売以来、なにかと話題になってきたSegwayを悩ませる一連の災難の最新のものとなり、世間のおおかたの人々にとっては困惑の種だった。何といっても、リコールはこれが初めてではないのだ。さらに、これまでに経営陣の入れ替えも経験してきている。交通機関の革命だともてはやされたにもかかわらず、Segwayが期待されたほど売れなかったのは言うまでもない。9月のリコール時点での総販売数は、およそ2万3500台だ。
しかし、Gotcher氏はこのリコールでも動揺しなかった。同氏にとって唯一の問題は、Segwayのメーカーがソフトウェアの修正と称する今回のアップグレードが行われる数日間、Segwayなしに過ごさなければならないことだった。
Gotcher氏によると、Segway Chatの登録メンバーおよそ4000名も、彼女と同じ意見のようだという。「メンバーが今回のリコールについて心配しているとしても、そのパターンは次のどちらかになる。『Segwayなしでいるのは耐えられないから、Segwayが使えない期間をなるべく短くするにはどうしたらいいだろう』と言うか、『世界の人々がリコールのことを知って、Segwayが見くびられると思うとたまらない』と言うかだ」とGotcher氏は言う。
この2種類の反応で十分わかるように、Segwayの所有者は忠誠心が非常に高く、彼ら自身そのことを真っ先に認めている。今回のような製品リコールについて、Segwayの熱烈な愛好者たちは、自社の顧客を心から大切にする企業だからこそ実施できるすぐれた顧客サービスの一例だとして支持する。
SegwayのCarla Vallone氏によれば、Segwayは今回のソフトウェアの不具合を定例の試験で発見し、過去の事故の報告とこの発見を照らし合わせて、当該の不具合が原因で起こりうるものであると判断できたのだという。CPSCの広報担当者Scott Wolfson氏は、Vallone氏の説明したリコールの確認を行った人物だが、発売から5年も経って実施されるリコールでも、とくに珍しくはないと語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス