Dean KamenがSegwayを開発したのは、安価で、地球にやさしく、小回りのきく移動手段を、都市の住民に提供するためだった。国立公園を走り抜け、野生動物と出会うためではない。
しかし、27歳の元掃除機セールスマンJosh Caldwellは、設計者の意図など意に介さず、この小さなスクーターで全米横断に挑んだ。Segwayにとっては、これまでで最も過酷な走行試験といえるかもしれない。
今月16日、Caldwellの旅はボストンで終わりを迎えた。シアトルを出発してから、3カ月と少しがたっていた。数人の仲間のほかに、この旅の道連れとなったのは、1台のSegway、十数個の予備バッテリ、1匹の犬、旅の模様を撮影するための機材一式、そして1台のJeep Cherokeeだった。
「America at 10mph(アメリカをゆっくり見渡そう)」と名付けられたこのプロジェクトは、Caldwellとその友人Hunter Weeksが発案したものだ。冗談とも、本気ともつかない思いつきは、いつの間にかアメリカを新しい視点から捉えるための、壮大な旅に変わった。2人は旅の模様を収めたフィルムをもとに、地上6インチ(約15センチメートル)、つまりセグウェイの高さから見たアメリカの素顔を描くドキュメンタリー映画を制作する予定だ。
CNET News.comは今月上旬、ニューヨークで休憩中のCaldwellにインタビューを行い、今回の旅について話を聞いた。
--この横断旅行を思いついたきっかけは。
Hunterと僕はもともと、アリゾナの某大手ソフトウェア会社に勤めていました。僕らは会社の仕事とは別に、自分たちでもさまざまなビジネスに取り組んでおり、当時は映画プロダクションを経営していました。しかし、映画で成功するためには、サラリーマン生活にピリオドを打ち、映画制作に専念する必要があるのではないか--われわれはそう考えて、会社を辞め、もう1人のビジネスパートナーが住むデンバーに引っ越しました。
ある日、僕らはブルックリンの友人を含め、次のプロジェクトについて皆で話をしていました。皆から奇抜なアイデアがぽんぽん飛び出しました。肉を主原料とするプロテイン飲料、その名も「Au Jus(肉汁)」を開発し、アトキンス・ダイエットの実践者に売って回ろうとか、そういった怪しい話ばかりでしたが、そのときにふと、友人がこういったのです。「Segwayでアメリカを横断した人間はまだいない。これをやってみたらどうだ?」
最初は皆笑い飛ばしていたのですが、そのうちに、以前から暖めてきた映画のアイディアを実現する絶好の機会かもしれないと思うようになりました。僕らはアメリカの小さな町を回り、さまざまな出会いをフィルムに収めたいと考えていたのです。僕らはこの2つのアイディアを合体させ、アメリカの素顔と、Segwayによる横断旅行のてん末を収めたドキュメンタリー映画を作ることにしました。
--Segwayに乗った経験はあったのですか?
いいえ、当時はまだありませんでしたが、とりあえず、ロジスティクスを含めた撮影計画を立てはじめました。ショッピングセンターに行き、BrookstoneでSegwayを試乗したのは、出発の1カ月ほど前のことです。そして2週間後にSegwayを1台注文し、出発の準備を整えました。
--最初にSegwayを見たとき、「これで大陸を横断するのは無謀かも」と思いませんでしたか。
山道などについては少し不安があったので、最終的にはSegwayに相談しました。同社の技術スタッフは、Segwayはとても柔軟な乗り物だから、僕らが計画しているような旅にも利用できると太鼓判を押してくれましたよ。
--しかし、現実にはさまざまな問題があります。たとえば、バッテリが10マイルしかもたないとか。
その通りです。バッテリの問題があるので、ロジスティクスは慎重に考えなければなりませんでした。走行時は大体1時間ごとにバッテリを交換しています。夜は夜で、15個のバッテリを充電する場所を探さなくてはならない・・・僕の後ろを走ってくるJeep Cherokeeには、撮影機材とは別に、Segway用の品々も積まれています。
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