米国では無料のワイヤレスインターネット接続サービスがさまざまな都市で展開されるようになっている。都市の至る所でワイヤレスインターネット接続サービスが利用可能になることで、子どものインターネットアクセスを管理したいと考える保護者にとって新たな悩みの種が増えることになるかもしれない。
最近、ますます多様化するモバイル機器を使って、自宅以外の保護者の目の届かない場所でワイヤレスブロードバンドを利用する子どもたちが増えている。例えば、ソニーの「PlayStation Portable(PSP)や任天堂の「Nintendo DS」は、人気の携帯型ゲーム機だが、子どもたちはそれらを使ってネットにログオンしたり、PtoPチャットネットワークに接続したりすることも可能なのだ。また、Microsoftが発売を予定している携帯型メディアプレーヤー「Zune」では、内蔵されているWi-Fi機能を使って、簡単にソーシャルネットワークに参加することも可能になるだろう。
それらのゲーム機を使うことにより、公園やカフェ、さらには都市中の至る場所で無料のブロードバンド接続サービスが利用可能になると、子どもたちのオンライン活動の管理に日々努める保護者たちの努力がすべて水泡に帰してしまう、と消費者保護団体は懸念する。
「Wi-Fiサービスが利用可能な都市で子どもたちにワイヤレス機器を与えるということは、子どもたちに保護者が見ていない所で他人と対話できる別の手段を与えることに他ならない」と語るのは、インターネットの安全に関する情報を提供している非営利団体、WiredSafety.orgのエグゼクティブディレクターParry Aftab氏だ。「恐らく子どもたちは、すでに友人の家や携帯電話を使ってそのようなことを行っているだろうが、(ワイヤレス機器を与えれば)そのような行動を取る子どもたちがさらに増えるだけだ。より多くの子どもたちにネットに接続する機会を与えることになる」(同氏)
また子どもたちにとって、ゲーム機を使って(対話可能な)赤の他人を見つけることは、たやすいことである。例えば、Phil Belanger氏の10歳になる息子は、ハワイ発米国本土行きの機内で、Nintendo DSを持つ別の少年を発見した。Nintendo DSでは、内蔵のWi-Fi機能を使って別のNintendo DSを探し出し、PtoPのチャットを始めることができる。そのため、2人の少年はテキストメッセージの交換やゲームの同時プレーを楽しんだ。Belanger氏は、おかげで息子が機内で楽しい時間を過ごせたと語った。
「わたしと息子の席が離れてしまったため、息子は少し緊張していた。だが息子は機内でチャットする相手を見つけ出した。とてもクールな体験だった」とBelanger氏は語る。しかし同氏は、「ここでも子どもたちには良識に基づいた行動をとってもらう必要がある。これについて子どもたちとよく話し合う必要がある」と付け加えた。
しかし、ここで問題が発生する。大半の保護者は一般のPCの使用法は熟知しているが、子どもたちのゲーム機についてPCと同程度の知識を持つ保護者はほとんどいない。また、子どもたちはゲーム機を使って、PCの場合と同様にインターネットにアクセスできる場合もある。
そこで、保護者としては、手始めにこうした機器について知るのが良いだろう。例えば、ソニーのPSPでは、インターネット上の大半のコンテンツにアクセスできるが、同機にはゲームなどのメディアファイルの閲覧を規制する機能が付いている。ただ、保護者たちがこれらの機能を利用するには、時間をかけてゲーム機について学習する必要がある。
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