家庭用コンピュータの世界では、アクセスポイントがケーブルモデムであれ、Wi-Fiであれ、保護者が子どもの活動を制限または監視するための選択肢がいくつか用意されている。例えばEarthLink、MSN、YahooなどのISPは、ウェブ利用を規制するためのペアレンタルコントロール機能を提供している。また保護者は「Net Nanny」などのソフトウェアを購入して、ポルノサイトをブロックしたり、ウェブ利用時間を制限したりできる。家庭用の無線ルータでは、保護者が単一のウェブページを使って、子どものアクセス先を集中管理することもできる。
しかし、都市中にWi-Fiネットワークが敷設されるとなると話が違ってくる。もちろん進取の気性に富んだティーンたちは家庭のPCであっても簡単に、ペアレンタルコントロールやソフトウェアの設定を覆す方法を探し出すことができる。しかし今はWi-Fiが近所の多くをカバーしているため、子どもたちはセキュリティ対策の施されていない近所のルータにいとも簡単にアクセスして、自宅の無線ルータのコントロールを迂回することができるほか、ソニーのPSPといった携帯デバイスを経由してインターネットにアクセスすることで、監視の目をかいくぐることができる。
「子どもたちは、公園でログオンするのと同様に、PSPを使って簡単にベッドの中に隠れてログオンすることができる」とWi-Fiネットワーキング機器の供給業者Troposのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるRon Sege氏は述べた。
「ペアレンタルコントロールという意味では、接続方法にかわり、端末の携帯性が大きな問題となりそうである」と4人の子どもをもつ父親でもあるSege氏は述べた。
カリフォルニア州マウンテンビューを含め、多くの公衆Wi-Fi網サービスでは利用者による事前の登録を求めている。この要求により、PSPを持つ子どもでも、特別なソフトウェアがなければ簡単にログオンすることはできないようなっている。しかし登録を要求されないフリーゾーンでは、Wi-Fi対応機器を持つ子どもは簡単に接続ができる。
さらに、ますます多くの商品が、子どもを惹きつけようと無料のWi-Fi機能を備えるようになっている。例えばMcDonald’s は任天堂と手を組み、DS機器がショップ内のWi-Fiアクセスポイントに対応できるようにした。これにより子どもたちはビッグマックやフライドポテトを食べながら他のDSプレーヤーを見つけることができる。
「今のところ大きな問題ではないが、もしゲーム機器や電話などの機器がこのような問題を無視して開発されれば、問題は拡大するであろう」とWi-Fiコンサルティング会社Novaraumのマネジングディレクターを務めるBelanger氏は言う。
携帯セキュリティ会社Aruba Networksの創業者であるKeerti Melkote氏は、無線網に対する規制は物理的境界線が存在しないために難しいという。駐車場にいるハッカーは、隣接するビルの無線網がセキュリティで保護されていなければ、それを利用することができる。「全てのアクセスポイントが侵入口となる可能性がある」と同氏は言う。
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