Googleの株式を保有する米国のある年金基金が、同社が採用する2種類の株式による保有構造の廃止案を提出していたが、米国時間5月11日に開かれた同社の年次株主総会で、同案は予想通り否決された。
また総会では、論議を呼んでいる同社の中国における検閲方針に関する質問への対応にGoogleの幹部らが追われる場面が見られた。
年金基金Bricklayers & Trowel Trades International Pension Fundのある関係者は、現在の2種類の株式による保有構造では、わずか2〜3人の幹部にあまりに多くの支配権が集中するため、同社にとって健全な制度とは言えないと主張した。同基金はGoogle株をわずか4700株強しか保有していない比較的小規模の株主だ。また労働組合役員のJohn McIntyre氏は、2種類の株式による保有構造下では「経営陣が過度な保守主義に陥る」可能性があることを経済研究の結果が示している、と指摘した。
McIntyre氏は採決結果の発表前に、「2重の株式保有構造下では、(異なる見解が排除され)同一の見解のみに基づいて意思決定がなされる恐れがあり、われわれはその点を大変憂慮している」と述べ、さらに「優れた経営者や発明者でも市場から学べることはある」と付け加えた。
しかしGoogle取締役会は、(2種類の株式による保有構造により)外部の第三者によるGoogleの買収や同社に対する影響力の行使が困難になり、その結果、同社の経営陣が長期的な成長戦略を進めやすくなるとして、廃止案を否決するよう提案していた。
Googleの現行の株式保有構造では、クラスA株の株主には1株あたり1票の議決権が与えられ、最高経営責任者(CEO)のEric Schmidt氏および共同創設者のLarry Page氏とSergey Brin氏の3人しか保有していないクラスB株の株主には1株あたり10票の議決権が与えられている。
採決結果の発表後に行われた質疑応答では、同社の幹部らが、同社の中国における検閲方針、ユーザーの検索情報の開示を求める米国政府からの召喚に対する異議申し立て、さらに、同社の無料Webメールサービス「Gmail」の信頼性の問題に関する質問への対応に追われた。またBrin氏は、同社が株式分割を行う予定はないことを明らかにした。Google株の11日の終値は、前日比およそ4%安の387ドルだった。
ニューヨーク市公務員年金基金(New York City Employees Retirement System:NYCERS)の関係者で、国際的人権擁護団体Amnesty Internationalにも所属しているというある人物は、Googleが同社の中国語版検索サイト上で検索結果を検閲することに合意していることについて同社を非難した。同氏は、「(そのような行為を行えば)Googleは世界で最も抑圧的な政権の1つである中国政府に協力することになる」と述べ、さらに「Googleは(そのような行為が原因で)他社のサービスに乗り換えた顧客を引き戻すために今後どのような対策を講じるのか」と質問した。
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