グーグルは5月11日、書籍の全文検索サービス「Google Book Search」の日本語版となる「Googleブック検索」の提供に向けた準備に入っていることを明らかにした。
現在、日本語によるサービス内容の説明が公開されており、同社に書籍を提供する出版社向けパートナープログラムへの登録が開始されている。ユーザーに対するサービス開始時期は未定だが、書籍の登録数やサービス開発の進ちょくを見つつ「年内にはスタートさせたい」(グーグル、ビジネスプロダクトマネージャーの徳生裕人氏)とする。
Google Book Searchは、ユーザーが入力した検索語をもとに、デジタル化された書籍の内容を全文検索し、検索語の含まれる書籍の一覧や一部の内容、書籍購入サイトへのリンク、取り扱い書店の地図情報などを提示するサービス。
書籍の内容表示については、単語が含まれている数行のセンテンスと書籍情報のみを表示する「スニペット表示」、単語周辺の数ページを表示する「サンプルページ表示」、著作権の切れた書籍の内容をすべて表示する「書籍全体表示」といった複数の方法がある。表示させるページの分量や一定期間内に表示されるページの割合などはパートナープログラムに参加している出版社側で指定が可能だという。
パートナープログラムにはISBNコードのついた書籍を発行している出版社であれば参加が可能だ。プログラムへの参加や書籍の登録は無料で行える。書籍の登録については、PDF形式でのアップロードが可能なほか、グーグルに対し現物の書籍を郵送することでも行える。書籍全体のスキャンと登録はグーグル側で行うが、グーグルへの郵送料は出版社の負担となる。
グーグルでは、このサービスが、読者にとっては興味のある書籍の内容を事前にある程度確認でき、出版社にとっては無料で既刊書籍のマーケティングが行える点でメリットが大きいとしている。また、サンプルページの表示画面にはAdSense広告が表示され、その収入も出版社に対して還元されるという。グーグルでは、AdSense広告による収入の一部を自社の利益とする形になる。
海外のグーグルでは、出版社から提供を受けた書籍以外にも、大学図書館との提携で蔵書をスキャンするといった形での書籍のデジタル化プロジェクトを進めているが、こうした動きに対し、米国の出版業界や作家協会などが著作権保護の観点から同社を提訴するといった問題も起こっている。日本では、パートナープログラムに参加している出版社から提供された書籍のみを登録していく方針で、図書館などとの協力体制については「現段階で白紙」と説明している。
「グーグルのミッションは、地球上のすべての情報を検索可能にすること。オフラインに存在する書籍の情報をデジタル化するにあたっては、出版社や著者、ユーザー、グーグルのすべてにとってメリットのある方法を模索していく必要があると考えている」(徳生氏)
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