Googleは、世界最大級の図書館の蔵書をデジタル化する計画をめぐって今も論争に巻き込まれている。その同社が、自社の書籍検索サイトで著作権のある原文へのオンラインアクセス権を販売する話を米英の出版社に持ちかけている。
「Google Book Search」では現在、同サービスが集めた著作権のある書籍の要約を無償で見ることができるが、オンラインで書籍全体を読むことはできない。書籍全体を読む場合は、リンクをクリックしてサイト外の書店や蔵書目録に移る必要がある。
Googleのサイトにはこのサービスについての説明があるが、それによれば、新サービスではユーザーがログインすると、ブラウザ上ですぐに書籍を読めるようになるという。ただし、購入者は自分のコンピュータに書籍の複製を保存することも、書籍の一部をコピーすることもできない。
Googleでは、出版社の売上拡大支援を目指して複数投入するツールの第一弾として、この新サービスを売り込んでいるが、13日現在どの程度の申し込みがあったかは明らかでない。なお、価格は出版社が自由に決定できる。
このようなビジネスモデルは、Amazon.comと世界最大の出版社であるRandom Houseが昨秋投入した計画と同じように見える。両社は、数ページから作品全体まで書籍のオンラインアクセス権を購入できるサービスを発表している。このサービスでは、販売するページの価格を書籍販売店側が設定することになっている。
Googleは、「Print Library Project」と呼ばれる別の書籍関連の取り組みで、大きな論争を巻き起こしてきた。同プロジェクトは、主要大学4校とニューヨーク公立図書館の蔵書を、著作権の有無にかかわらず、すべてスキャンしてデジタル化し、検索できるようにするというもの。同社はすでに、著作権が切れた、あるいは著作権が全くないパブリックドメインの書籍のオンライン化に着手しているが、著作権のある本文の公開計画については思わぬ障害にぶつかっている。
米作家協会や米国出版社協会は2005年秋に、それぞれGoogleを提訴し、著作権付きの書籍を丸ごとオンラインで公開してしまうことは、たとえそれが検索目的であっても、著作権保有者の権利侵害にあたると主張している。また、先週には一部の出版社幹部らが、ロンドンブックフェアにおいて、同プロジェクトが出版業界にとって潜在的な脅威となることへの懸念を表明していた。
YahooとInternet Archiveは、Googleのプロジェクトと競合する書籍デジタル化プロジェクトを開始した。後にMicrosoftも加わったこの取り組みでは、著作権の切れた書籍や著作権者からの許可を得たものに対象を限定することで、こうした問題を回避している。また、「Project Gutenberg」のようなサイトでは何年も前から著作権の切れた数多くの書籍が公開されている。
米国出版社協会会長のPatricia Schroederは、Googleの最新の取り組みについて慎重な反応を示している。「Googleがこのプロジェクトで必ず出版社側の許可を求めてくると仮定すれば、とても良いニュースだということができる」と、同氏はCNET News.comに語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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