図書館の本をデジタル化してオンライン検索できるようにするというGoogleのプロジェクトに当初ただ恐れおののいていた出版業界が現在、同プロジェクトを「広範囲にわたる著作権侵害」と、批判の声を上げている。
学術系出版社125社が加盟する非営利団体の米国大学出版部協会(Association of American University Presses:AAUP)は今週、Googleに送付した6ページの書簡を公開した。Googleは2004年12月、ハーバード、スタンフォード、ミシガンの各大学図書館と協力しながら書籍をデジタル化する「Google Print for Libraries」プロジェクトを発表した。
同書簡の中で、AAUPは、同プロジェクトやその範囲について、様々な質問を投げかけている。また、同協会は、Googleが出版社からの明確な許可を得ずに著作権で保護された書籍をコピーしており、AAUP会員が金銭的な被害を受けている可能性があるとも指摘している。
「Googleは、Google Print for Librariesが著作物の公正使用にあたると主張するが、これには無理がある」とAAUP幹部のPeter Givlerは言う。「Googleの行為が公正使用として認められなかった場合、同社は非常に大きな著作権侵害を起こしていることになる。著作権に関する基本的な問題が未解決のままとなっており、Googleはこれらの問題を解決する必要がある」(Givler)
Googleの広報担当Eileen Rodriguezは米国時間24日、同社は著作権者の権利を尊重しており、Google Printでは「著作権を保護するために、本の閲覧方法を複数用意している」と語った。例えば、著作権で保護された作品については、著者、発行年月などの書籍情報と、複数の短い文章だけを表示すると同氏は述べている。
「出版社はGoogle Printに参加することで多くのビジネス上の利益を得られると思うが、出版社には参加しないという選択肢も与えられている。Google Printに参加しない出版社の著作物は、図書館でデジタル化されても、Googleユーザーには表示されなくなる」とRodriguezは説明した。
この主張に対してGivlerは、たとえ後で参加を断ることができたとしても、そもそも著作権で保護された作品をGoogleがそっくりそのままデジタル化する権利を有するのかと、疑問を呈している。これほど大規模なレベルで書籍をデジタル化しても、その行為が著作物の公正使用にあたるのか、これまでに問われたことは一度もないとGivlerは述べた。もし法廷がGoogleに有利な判断を下せば、この権利はほかのすべての検索エンジンにも認められることになると、Givlerは言う。
「Googleの人間はみんな良い人ばかりで、素晴しい計画を持っているかもしれない。しかし、彼らとはこのことについて、真剣に話し合わなければならない」とGivlerは言い、学術系出版社は危機的な経営状態にあると付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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