ソニーは4月27日、2006年3月期の通期連結決算を発表した。携帯型ゲーム機のPSP(プレイステーション・ポータブル)や金融事業が好調で、1月に発表した業績予想を上回る増収増益となった。また、懸案となっていたテレビ事業も、液晶テレビのBRAVIA(ブラビア)が好調なことから、薄型テレビに関しては赤字幅が縮小して損益分岐点に近づいた。
2006年3月期の通期連結決算は表1のとおり。液晶テレビのほか、ハイビジョン画質で撮影できるデジタルビデオカメラやPCのVAIO(バイオ)が好調で、「エレクトロニクス事業に回復の道筋が見えてきた」(ソニーEVP 兼 最高財務責任者(CFO)の大根田伸行氏)。ブラウン管テレビは引き続き苦しい状況にあるが、薄型テレビについては「損益分岐点に近いところまで来た」(同氏)という。
金額(円) | 前期比(%) | 利益率(%) | |
---|---|---|---|
売上高 | 7兆4754億3600万 | 4.4 | - |
営業利益 | 1912億5500万 | 67.9 | 2.6 |
経常利益 | 2863億2900万 | 82.1 | 3.8 |
純利益 | 1236億1600万 | ▲24.5 | 1.7 |
営業利益は前期比67.9%増と大きく伸びた。構造改革費用と代行返上益をのぞいた営業利益率についても、1月時点では2.3%としていたのが、1.1ポイント増えて3.4%となった。ソニーでは2008年3月期に営業利益率5%を達成するという目標を掲げており、大きく近づいたことになる。
ただし今回の営業利益には、ソニー厚生年金基金の代行返上に伴う利益を735億円、為替による差益を514億円計上している。また、営業費用には1387億円の構造改革費用が含まれている。
PLAYSTATION 3にかかわる研究開発費が増加したこと、映画分野の大作タイトルが不振で、劇場工業収入やDVDおよびビデオソフトの売上が世界的に落ち込んだことが利益を押し下げた。
2007年3月期の業績については、エレクトロニクス事業や映画事業の損益が改善すること、PLAYSTATION 3を発売することで、売上高が前期比10%増と大きく伸びると見る。その一方で、PLAYSTATION 3の市場開拓に大きく費用がかかること、株式市場の景気が落ち着いて金融事業が減収になると見ていること、および厚生年金基金の代行返上益がなくなることから、営業収益は同48%減と大幅に落ち込むと予測している(表2)。
金額(円) | 前期比(%) | 利益率(%) | |
---|---|---|---|
売上高 | 8兆2000億 | 9.7 | - |
営業利益 | 1000億 | ▲47.7 | 1.2 |
経常利益 | 1500億 | ▲47.6 | 1.8 |
純利益 | 1300億 | 5.2 | 1.6 |
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