マサチューセッツ州ボストン--一部の人の目には、DellはIntelとMicrosoftに歩調を合わせ、両社の研究開発計画に従っているだけのように映るかもしれない。しかし同社の幹部であるKevin Kettler氏によると、必ずしもそうではないという。
Dellの最高技術責任者(CTO)を務めるKettler氏によると、同社は技術開発に積極的であるだけでなく、新しい規格の出現について「キングメーカー(陰の実力者)」の役割を担っている場合が多いという。ボストンで開催されたLinuxの総合イベント、LinuxWorld Conference & Expoで行われたインタビューでKettler氏は、DellがIntelとMicrosoftの反対を押し切り、独自の路線を歩んだいくつかの分野について大まかに述べた。それらの分野で同社は、舞台裏で複数の契約を締結し、その契約に基づいて新たに開発した製品を発売した。
Dellは基本的に、今日のデスクトップコンピュータやサーバで使用されている多くの技術について、必ずしも開発に関与したわけではないが、選択には関与したとKettler氏は主張する。同氏はDellが関与した規格の具体例として、802.11無線ネットワーク、PCI Express通信技術、Intel製x86プロセッサの64ビット拡張などを挙げた。
しかし、Dellの強引な主張は、しばしば同社の主要提携先との間で衝突を招いてきた。米国時間4月3日に行われたIntelとの交渉は、実に8時間に及んだ。交渉に参加したKettler氏は、生産的な議論だったが「決して楽ではなかった」と振り返る。
技術系調査会社Endpoint Technology Associatesのアナリスト、Roger Kay氏によると、かつてはMicrosoftとIntelの力が今よりも強かったという。以前は、PCメーカーがチップやOSを購入したいと考えた時、MicrosoftやIntelの製品に代わる製品がほとんどなく、また、MicrosoftやIntelを相手に条件交渉ができるだけの支配的シェアを持つコンピュータメーカーも少なかった。しかし現在は、PC販売業者が大幅に整理統合されたこともあり、勢力争いがさらに激しくなっている、とKay氏は指摘する。
「ネットワークのCisco、OSのMicrosoft、チップのIntel、PCのDell、流通のBest Buyといった各部門の一部の巨大企業は、各市場における支配的地位を獲得するために他社を欺いたり、出し抜いたりしている」とKay氏は語る。そして全体的に見れば、Dellは以前よりも確かに力をつけている。「多少、大げさに聞こえるかもしれないが、この傾向が続いていると基本的には考えている」と同氏は付け加えた。
しかし、調査会社Gartnerのアナリスト、Steve Kleynhans氏は、Dellは全体的に見て、Intelの方針に追随する傾向があり、自ら内容を決めることはないと指摘する。Kleynhans氏は、「(Dellは)ある技術が標準化されそうな時点で関与し、その規格を普及させるというパターンが多い。たしかに同社は規格の普及には貢献している」とした上で、「しかし、Dellが技術を推進しているとか、方向性を定めているとは思えない」と語った。
Kettler氏によると、無線ネットワークについていえば、Intelは当初、現在は全く使われなくなった規格HomeRFに肩入れしていたが、Dellは強く反対した。Dellは必死にIntelを説得し、サポートする規格を802.11に変更させた。現在、802.11は広く利用されている。
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