「Yahoo!を(絶滅寸前の)恐竜だと思っている人もいるかもしれないが、我々はWeb 2.0時代にあった会社を目指して転身を図っている」--日本のヤフーの10周年を記念して米Yahoo!の共同設立者、ジェリー・ヤン氏が来日し、東京都内のホテルで今後のインターネットへの展望を語った。
ヤン氏は、Web 2.0の本質は「コミュニティー重視のサービスで人々をつなぎ、お互いを見つけあったり、情報を共有したりすることで(ユーザーの)世界を広げる」だとした上で、Yahoo!はこれを実現するべく「ソーシャルメディア」を目指すと語り、「ソーシャルメディアこそが次世代のインターネットだ」と強調した。
ヤフーの成功の要因として、ヤン氏はソフトバンクとの良好なパートナーシップ、Yahoo!創業直後にスタートしたためYahoo!が献身的だったこと、いい社員に恵まれたことの3つを挙げた |
これまで10年間のウェブにおいては、一般のユーザーはマスメディア的に発信される情報を一方的に受け取ってきた。しかし、次の10年では、このマスメディアをYahoo!が「マイメディア」と呼ぶものに変えていきたいという。
インターネットの第1幕、つまりここまでの10年は「Public(公共)」の時代で、インターネットはマスメディア的な公共向けの情報提供のメディアだった。これに対して第2幕では、「My Web」を合い言葉に、検索やRSS、オープンAPIといったツールを活用して、ユーザーが情報を自分のニーズに合わせて欲しい情報をカスタマイズする「Personal」なメディアとなる。
さらにそのすぐ後の第3幕では「Our Web」を合い言葉に、検索結果やお気に入りから写真などのコンテンツまで、気のおける仲間達と情報を共有する「Social」なサービスを目指していくという。
「これまでよく、Yahoo!のような会社をつくりあげるにはどのような技術やエンジニアリング能力が必要かと聞かれた。今日、同じ質問をされたらおそらく『社会エンジニアリング』と答えるだろう」
ヤン氏は、Yahoo!が第2幕、第3幕を目指した取り組みを実際に始めていることを示すべくいくつかの例をあげた。
まず紹介したのが、同社の検索サービスだ。従来のような、シンプルな検索ボックスではなく、さまざまなタイプの検索が可能なように改良されている。「例えば寿司とサンフランシスコで検索をすると、地図と共にサンフランシスコの寿司屋の情報が出てくる。ただ、それだけに止まらず、それらの寿司屋の評判やサードパーティーが提供する地図情報も表示できる」という。
さらにYahoo!のビデオ検索サービスや、ブックマークの共有ができる「My Web 2.0」、Yahoo!が最近買収したソーシャルブックマークサービスの「del.icio.us 」、写真共有コミュニティーで情報のタグ付けをもっとも早くに成功させた「flickr」、日本でも始まったソーシャルネットワークサービスの「Yahoo! 360°」、他の人のお勧め音楽もわかる「Yahoo! Music Engine」、気になるウェブニュースのRSSでカスタマイズできる「My Yahoo!」、そしてウェブブラウザに頼らない情報提供を可能にする「Yahoo! Widgets」などを引き合いに出した。
「次の10年間、Web 2.0を実践し人々に役立つサービスを提供するには、我々は率先してオープンスタンダードを採用していく必要がある。我々はそのために『Yahoo! Developer Network』に取り組んでいる。これは開発者やハッカー、マッシュアップなども含め非常に先進的なことをする人々が集まってきてYahoo!のAPIを使うことを目指したものだ」というヤン氏は、こうやって開発者やユーザーに、自由に情報をカスタマイズしてもらえるようにすることが、長期的にみてYahoo!により多くの顧客をもたらすことになるのだと話した。
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