固定と移動が統合されることで広がる可能性
ソフトバンクとヤフーによるボーダフォン買収の正式発表の前日、フジテレビが保有してきたライブドア株式をUSENの宇野社長個人が引き取ることが明らかになった。GyaOとの連携を図るとされている。これは、基本的にインターネットサービス提供者同士の問題でしかなく、ソフトバンク・ヤフーとボーダフォンのそれとはまったく異なるレベルの話だといっていいだろう。
ソフトバンクは、ブロードバンドに加えて固定網を無線で拡張したワイヤレス(Wi-FiやWiMaxなど)をも視野に入れたIPによる通信の全方面展開をボーダフォン買収で完成させつつある。これらの異なるインフラをブリッジするのは、IPという技術に加えてユーザーエクスペリエンスではヤフーというポータルの存在に他ならない。
それが、これまで別の進化を遂げ、ユーザーにとっては近そうで遠かった2つの「通信」を単にブランドでのみ結びつけるのではなく、ポータルというコンテンツ領域で一貫したエクスペリエンスを提供することを目指している。
これは、これまでコンテンツに近づきつつはあったものの、交わることを「良し」としなかった従来の通信とは異なる発想で仕組まれた戦略に異ならない。ソフトバンクによる全方向戦略は、これまでアンバンドルが主流だった通信の流れにどのように影響するのだろうか。
竹中大臣が主催する私的懇談会、通称「竹中懇」でも、NTTを中心とした通信の更なる水平分離の議論がなされており、そこでも孫社長は積極的な発言をしているようだ。とはいえ、放送との融合も含め、具体的なプレイヤーの動きも、そしてそれが行き着くべき最終形も混沌とした状態にあるというのが、正直な印象だ。
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