2.携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の導入(2006年11月)
MNP(契約している携帯電話会社を変更しても継続して同じ電話番号を利用できる制度)は、業界内シェアの変動を促すだけではなく、顧客維持キャンペーンの激化や料金の低減など、事業者にとっては消耗戦の開始を意味する可能性が高い。
3.HSDPAの導入(2007年初め?)
3.5世代のテクノロジーといわれるHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)はNTTドコモとボーダフォンが採用予定の技術で、下りデータ通信で最大14.4Mbps(実際は、同じ基地局内にいる利用者と共有するため、最大3Mbps程度と見られる)まで高速化できる。
4.携帯電話市場への新規参入(2006年10月以降)
1.7GHzまたは2.0GHz帯を用いて新規携帯電話通信事業者3社(ソフトバンク系のBBモバイル、イーアクセス系のイー・モバイル、およびマルチメディア総研系のアイピーモバイル)がサービスを開始予定。BBモバイルとイー・モバイルが既存技術仕様(W-CDMA)を採用してもIPデータ通信を重視すること、アイピーモバイルがTD-CDMAを採用するなど、規格面でも多様化が進行する。
5.広帯域無線免許の付与(2008年?)
WiMAXなどの広帯域固定無線アクセスの免許の付与が予定されている。WiMAXは下り最大286Mbpsという非常に高速なデータ通信が可能な技術で、広帯域無線免許への採用が有力視されている規格だ。また、固定無線としての規格(IEEE 802.16-2000)だけではなく、移動体でも利用可能な規格(IEEE 802.16e)も策定されている。
他にも、FeliCaを利用した「おさいふケータイ」などの各種ICチップサービスはますます充実するだろうし、通信を利用した放送に匹敵する映像一斉同報通信=モバイル放送サービス(MBMS(Multimedia Broadcast / Multicast Service)やQualcommのMediaFLOなど)の開始も時期は未定ながら確実視されている。加えて、既存固定通信や上記5に掲げたような広帯域無線との融合サービス(FMC)も、どのようなシナリオに従うかは別にしても実現するには違いないだろう。
新規参入では遅すぎるという判断
4でも言及したように、この大きく変動しつつある携帯電話市場への入場チケットを「無料」で獲得したにもかかわらず、ソフトバンクは1兆円から2兆円とも言われる額を投じてボーダフォンの獲得を決意したことになる。
申請では、BBモバイルのサービス導入は2007年4月からといわれており(実質的には夏以降になるともいわれている)、MNP導入後の混乱した状態の市場への参入計画となっている。しかし、1万6千局以上の基地局設置と新たに開発準備する端末機器などへの投資、そして顧客獲得に必要なキャンペーン費用を考えれば、1兆円で1500万人の既存市場を取り込むことは決して悪くはない計算結果かもしれない。
しかし、それだけなのだろうか?
多分に、今から1年以上をかけて準備しても、何か重要なタイミングを逃してしまう可能性が大きいという判断があったのではないか。
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