推測としては、MNP後では、FMCによる顧客の固定こそが重要な要因となり、FMC成功のキーはモバイルトリプルプレー(モバイル機器による「通話・データ・映像」の三位一体サービス)という判断があったのではないか。そして、この判断は、同時にヤフーや日本テレコム、そしてTVバンクを傘下に持つソフトバンク・グループにとって最も優位を形成できるシナリオだからではないか、とも考えられる。
NTTドコモがNTTグループ内部の調整で、KDDIは固定網の整備不足でそれぞれFMCに出遅れるタイミング。それは最もソフトバンク・グループにとって有利なポイントであり、それはFMCのキーとなる広帯域固定無線アクセスの免許交付までに、ある程度の規模まで携帯電話事業の加入者数を確保することにもなるはずだからだ。
ケータイの本当の魅力を求めて
FMCはもちろん大きな転機となり、これまでの固定通信サービスを根こそぎ払ってしまうほどのインパクトになるという予測すらある。加えて、モバイル放送サービスという映像サービスが本来の放送に加えて、自宅や映像アーカイブセンターに蓄積された多種多様な膨大な量の映像コンテンツの配信に用いられるようになり、「ファイバーレスケーブル&ブロードバンド」が実現されるようになれば、圧倒的な市場コントロール力を持つことも可能になるだろう。
また、まだケータイのサービスの中で十分に開拓されていない領域も数多くある。そもそもケータイの進歩は下記のような経由で進んできた:
通信+移動性→通信の個人化→日常の機能の外部化(記憶など)→その他機能の統合集積(カメラやクレジットカードなど)
であれば、その多機能の統合の延長上で放送視聴やPCのブロードバンド利用を取り込むだけではなく、再度ケータイが移動のためのツールである点に立ち戻るなどの可能性もあるだろう。すなわち、現在はGPSなどを用いて提供されているサービスの更なる充実ではないか。
それもインターネットテクノロジー準拠の世界のどこでも利用できるものであればなおよい。そうすれば、日本のケータイビジネスがはじめて、ようやく海外で席捲できるようになるのではないか。そこまでをソフトバンクは狙って、ボーダフォン買収というシナリオを描いたのであればと僕は1人願っているのだが、孫さん、いかがですか?
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