中国国内でウェブサイトを運営しているほぼすべての米国企業に対して、それらのサイトを同国外に移転することを義務付ける法案が、今週中に米議会に提出される見通しだ。この法案が成立した場合、それに違反した企業の幹部には最長1年の懲役刑が言い渡されることになる。
この法案は、米国のインターネット関連企業に対して外国政府にどう対応するべきかを定めた基本原則を書き換えようとする初めての真剣な試みとなる。CNET News.comはこの法案のドラフトに目を通したが、これが施行された場合、中国やイラン、ベトナムなど、過度に「インターネットの利用を規制」している国々で活動する企業の商慣習が劇的に変わることになる。
ウェブの検閲を求める中国政府の要求にGoogleやYahooなどの米国企業が応じたことが報じられ、このところ話題を呼んでいることを受け、こうした法案が出されると多くの人間が予想していた。Christopher Smith議員(共和党、ニュージャージー州選出)が起案したこの法案によると、米司法省の承認を得た場合を除き、米国企業が検索結果の一部の表示させなくしたり、ユーザーに関する情報を特定の外国政府に渡したりすることは違法になるという。また、この法案はそれらの国家への新たな輸出制限を課すことも求めている。
「GoogleやYahoo、Cisco、Microsoftといった主要な米国企業は、市場シェアと利益のために、製品の完全性と責任ある企業市民としての勤めを犠牲にした」とSmithは米国時間15日、関連する下院公聴会のなかで述べた。人権小委員会の議長でもあるSmithは、このような協力を行った企業を第2次世界大戦中を援助した企業になぞらえた。
Yahooの広報担当Mary OsakoならびにCisco Systemsの広報担当John Earnhardtは、各社が現在この草案の内容を確認中であると述べた。GoogleとMicrosoftにもコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。
15日の公聴会の中で、議員らは同法案が数日内--早ければ16日にも提出されるとの予想を明らかにしていた。GoogleのバイスプレジデントElliot Schrageは、このアプローチの大枠の方針について慎重ながらも合意する考えを表明したが、これにより一部の小委員会メンバーが、Googleも共同発起人として名を連ねるべきだと揶揄する場面もみられた。
「2006年グローバルオンライン自由法(Global Online Freedom Act of 2006)」と名付けられた同法案が成立するかどうかは、いまのところ明らかでない。民主・共和両党の一部の議員が同法案を支持する可能性は高いが、これと対になる法案が上院には存在しておらず、また今年選挙を控えていることから、この法案をすぐに成立させることは難しい可能性もある。
またこの法案が成立すれば、中国企業に対する米国企業の競争力が著しく損なわれることになる。中国に拠点を置く企業には、この法案が定めるルールが適用されない。そのため、中国国内にサーバを置き、外国にあるウェブサイトよりもはるかに素速く中国のネットユーザーのアクセスに対応することが可能になる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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