野村総合研究所(NRI)は1月10日、2006年に携帯電話市場にインパクトを与えるMNP(番号ポータビリティ)とMVNO(仮想移動体通信事業者)についての見通しを発表した。11月開始予定のMNPに関しては、料金のみでの競争が激化するとMNPそのものが無意味な結果になるとして、サービス面で戦うべき、と注文。MVNOでも単に安いだけでなく独自のビジネスモデルが必要になる、と料金至上主義に陥りがちな事業者に対して注意を促した。
MNPは電話番号そのままで契約する事業者を変更できるシステムで、11月1日にスタートする予定となっているものの事業者間の調整に手間取っていることから、手続きの方法はまだ発表されていない。しかし各事業者はMNPをにらんですでにユーザーの囲い込みを実施している。NRIコンサルティング事業本部 情報・通信コンサルティング1部の上級コンサルタント、北俊一氏は「MNPの戦いはもう中盤に入っている」と分析する。年間契約割引、長期利用割引、家族割引などの料金プランや「おサイフケータイ」「着うたフル」などのサービスで市場流動性は低下していると語った。
NRIコンサルティング事業本部 情報・通信コンサルティング1部の上級コンサルタント、北俊一氏 |
NRIが昨年9月に実施した携帯電話利用者調査によると、現在契約している事業者のサービスに大きな不満を持つユーザーと、他の事業者に大きな魅力を感じるユーザーは、電話番号が変わってもそのままでも関係なく事業者を変更するという。その結果、KDDIがシェアを伸ばし、NTTドコモは他に移るユーザーと新規契約者がほぼ同数、ボーダフォンはシェアをダウンさせるという。
MNPでそのまま継続可能なのは電話番号のみで、各種割引は引き継ぎできないうえメールアドレスも変更され、購入した各種コンテンツも利用不能になる。加えて移行手数料もかかる。こうした障壁を知ったユーザーは、電話番号が変わらないというだけで他の事業者には移らない、という。現状では「MNPにはあまり意味がない」という結論だ。
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