第2四半期決算と併せて発表された上半期の連結決算は表2のとおり。水準としては引き続き高いが、営業利益率は46.8%と前年同期の53.3%から6.5ポイント悪化している。
利益率の悪化について井上氏は、「人員の拡大は将来への投資と考えている。このほか、連結子会社の売り上げがヤフー単体よりも伸びているが、こうした子会社は現在事業の拡大期にあるので利益率が単体ほどの水準にないことも1つの要因だ」と説明した。ただ、それでも純利益は過去最高を更新している。
表2:2006年3月期上半期(4〜9月)決算
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また、第3四半期(10〜12月)の見通しは表3の通り。販管費は、顧客獲得費用やシステム開発にかかる業務委託費用などが増加することに加えて、新たに連結する子会社の連結調整勘定・販管費などが発生するため、第2四半期に比べて26億〜31億円増加する見込みだ。
表3:2006年3月期第3四半期(10〜12月)決算見通し
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一方、井上氏は楽天が東京放送(TBS)に持ち株会社を通じた統合を提案したことについて、「個人的にはインターネット側にメリットがあってテレビ側にはメリットがないように思える。言うことを聞かせるには(会社を)買ってしまえということだろうが、Win-Winの関係がいいと思う」と個人としての考え方を示した。そして、「テレビからネットへユーザーを誘導できたら、テレビ局にお金を支払えばある意味Win-Winの関係になるが、そのお金がテレビ局が得ているCMなどの広告収入に匹敵する額になるかどうかは疑問だ」と続けた。さらに「ネットのほうでは、テレビの視聴率を高められればWin-Winの関係になるだろうが、その具体的な方法はよくわからない」とした。
こうした中で、ヤフーはどうするのか。井上氏は「これまでいろいろなテレビ局の番組と組んできたが、ヤフーのページビューもテレビの視聴率も両方とも向上した企画の実例も出ている」と現状を説明。「視聴者として考えると特定の局だけではなく全部見たい。すべての局と仲良くWin-Winの関係を続けていきたい」と述べた。具体的には、「テレビ番組を見ようとしたら、10分前に終わってしまったり、10分前に始まったりしたときに、ネットで最初からその番組が見られるようなことが実現できると喜ばれるのではないか」とした。
また、井上氏は「よく『テレビの人たちはネットに積極的ではないから買収すれば経営のスピードが上がって変化が出る」というようなことを耳にするが、私はそう思っていない。テレビがネットに消極的とは考えられず、検討も実験もいろいろと取り組んでいる」と語った。それよりも、ネット側から見た場合になかなか進まない問題としてコンテンツの権利処理を挙げた。「テレビ番組も動画も音楽もそうだが、権利処理に関わる投資やコストの負担を誰がして、だれが得するのかという大枠ができていないことが一番の問題だ。これはテレビ局だけががんばっても解決しない」と訴えた。
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