楽天は10月13日、子会社を通じて東京放送(TBS)の発行済株式数の15.46%を保有したことと、TBSに対して共同で持ち株会社を設立する提案を申し入れたことを発表した。
子会社の楽天ストラテジックパートナーズと楽天メディア・インベストメントの2社が協同保有者で、10月12日時点においてTBSの発行済株式数の15.46%にあたる2983万株を総額880億円で取得した。楽天は、事実上TBSの筆頭株主となる。
TBSに相当気を遣いながら慎重に言葉を選んで説明する三木谷氏(左)と國重氏(右) |
楽天とTBSの経営陣の一部は、2004年の8月頃から非公式で事業面での協力についてその可能性を話し合ってきた。楽天は、2005年9月29日にTBSの代表取締役社長である井上弘氏との面談もあったそうだが、部分的な協力や業務提携にとどまらず、統合することが最大の価値や効果が生み出されると判断した。そのため、こうした楽天の考え方をより明確にするために、今回公式に共同持ち株会社の設立などに関して具体的な提案書を作成し提出したという。
話し合いが進められてきたというが、TBSはデジタルコンテンツビジネス企業へ向けて大規模な資本・業務改革に取り組み、2005年8月末に電通とビックカメラ、三井物産、毎日放送に対して総額約206億円もの第三者割り当て増資を発表したが、このときには楽天の名前は挙がらなかった(関連記事)。
楽天が考える統合は、持ち株会社を共同で設立し、そこに両者のグループが独立したかたちで子会社としてぶら下がり、TBSと強力な企業連合を築くことで世界に通用するメディアグループになることだ。こうした統合スキームならば、テレビ局としての公共性や中立性が確保されやすく、また2004年にプロ野球に参入した時と同様に第三者機関による諮問委員会を設置することで、公共性や中立性が脅かされる疑念などを払拭するかまえだ。
楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏は「まず株の取得は敵対的な買収ではないことを理解してほしい。あくまでも友好的に進めたい」としたうえで、「統合の内容を100ページ弱にわたる提案書にまとめて、本日TBSの経営陣に提出し、およそ20分強説明した」とし、今後TBSとこの件を協議していきたい意向だ。株式の取得に関しては「大きくホップ、ステップ、ジャンプと飛躍していくには資本関係があったほうがいいので取得した。われわれが本気だという決意の表れだ」と語った。
また、三木谷氏は、「タイムワーナーは5兆円を売り上げて収益性も高い。また、CNNなど映像を使ったニュース系のサイトも成功しているが、日本はポータルもメディアも規模が小さすぎる」と、海外と比較して日本の成長が低いことも憂えた。
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