TBSを選んだ理由について三木谷氏は、「もっとも楽天と相性がいい」とした。ECに強みを持つ楽天と、テレビやラジオなど豊富なコンテンツを有してその制作能力も高いうえ、報道にも強いTBSとの組み合わせが最大のシナジー効果を生むと見込んでいる。また、デジタルビデオレコーダーの普及によってテレビCMがスキップされる割合が高まっているため、将来的に放送業界の収益にこの影響がでる可能性があることにも触れ、「テレビからウェブにトラフィックを誘導してネットの広告でそれを埋めることも可能だろう」とした。
TBS側の反応について、代表取締役副社長執行役員の國重惇史氏は、「突然のことで驚き、『もっと早く言ってくれれば……』と言われたが、時間はかかるかもしれないが検討していただけるそうなので期待している」と述べた。ただし、この検討には特に返答の期限などは取り決められていない。
この件に関して、TBSは「当社としては、これまで業務提携について楽天と協議を続けてきた中で、何の事前連絡もなく短期間に、かつ、大量に株式を取得されたことに唐突な印象を受けている。慎重に対応を検討していく」とコメントした。
TBS株式の取得については、大量保有報告書を見ると、楽天ストラテジックパートナーズが8月10日から毎日のように株式市場から買い付けた。報告義務が発生(発行済株式数の5%を超えた場合は5営業日以内に報告)した10月5日時点(報告したのは10月13日)で、同5.25%取得した。その後も、10月7日時点で同6.52%、10月11日時点で同7.52%まで取得。
そして、10月11日には楽天メディア・インベストメントが共同保有者として、その持ち分2.03%が加わり、10月11日時点で2社合計9.55%の取得となった。直近10月12日時点では楽天ストラテジックパートナーズが8.52%、楽天メディアインベストメントが6.94%の2社合計15.46%取得している。
今後、TBS株式を買います可能性があるかどうかは「買い増しは未定。両者とも株式市場に絡むのでコメントは避けたい」(國重氏)としている。また、TBSから拒否された場合についての対応策については「いまはまったく何も考えていない」(三木谷氏)とし、「拒否された場合のことはそうなってから考える」と述べた。
TBS株の取得については、元通産省の村上世彰氏が率いるM&Aコンサルティングの投資ファンド(村上ファンド)も約7%保有しているといわれているが、國重氏は「同じ六本木ヒルズにいるのでまったく顔をあわせることもあるが、TBSについて話したことはない」とし、「村上ファンドがどの程度持っているかも把握していないし、村上ファンドからTBS株式を買い取ることはない」と語った。そして、「ファンドとわれわれはまったく違う」と声を強めた。つまり、ファンドは投資して利益を上げることを目的としているが、事業会社である楽天は事業で成功して利益を上げることを目的にしているというわけだ。
10月13日の株式市場では、TBSの終値が前日比500円高(15.4%高)とストップ高で3730円をつけ、年初来高値を更新した。水準としては、2001年1月以来4年9カ月ぶりの高値だ。市場関係者は「村上ファンドによる買い増しに加えて、新たに楽天が買い増す可能性も出てきたことを好感した」としている。楽天の終値は、同800円高(0.9%高)の8万6600円と堅調だった。なお、プロ野球球団については、TBSが横浜ベイスターズを、楽天が東北楽天ゴールデンイーグルスを所有している。同じ経営母体が複数の球団を経営することを禁じた野球協約に違反する可能性がある点について三木谷氏は、「一般論として考えると、1つの企業が複数の球団を所有することはよくないだろう。問題があればオーナー会議などで話し合っていきたい」と述べた。
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