東京放送(TBS)は8月31日、テレビ放送開始50周年にあたる節目の年に、デジタルコンテンツビジネスのリーディング企業として生まれ変わるための資金調達や投資計画などを発表した。新規事業やプロジェクト全体に必要な資金の総額は、約280億円規模としている。
資金調達は、電通とビックカメラ、三井物産、毎日放送に対して総額約206億円の第三者割り当て増資と約73億円の自己株式の処分を実施する。この一方で投資としては、イー・アクセスの子会社であるイー・モバイルが実施する第三者割り当て増資を総額100億円規模でTBSが引き受ける(詳細関連記事)。
第三者割り当て増資による新株は、普通株式を992万株発行する。発行価格は、取締役会直前日までの直近1カ月間にあたる2005年8月1日から8月30日までの東京証券取引所における終値平均値2021円と、2005年8月30日の終値2145円を参考として2081円とした。なお、8月31日の株価は、今回の第三者割り当て増資が新聞報道されたことを受けて朝方に一時取引停止となったが、取引再開後は増資による株式価値の希薄化が懸念され、終値は前日比15円安(0.7%安)の2130円と軟調だった。発行総額は206億4352万円で、このうち資本組み入れ額は103億2672万円(1株あたり1041円)。新株の交付は9月16日。
また、この増資による株主利益への影響を考慮して、TBSが保有する自己株式のほとんどを同じ4社に処分することで今回の資金必要額の一部を調達して、希薄化を緩和させることにした。処分する株式総数は350万株で、1株あたりの処分価格は第三者割り当て増資と同額の2081円とし、処分総額は72億8350万円になる。払込期日は9月16日。なお、この処分後にTBSが保有する自己株式は2210株となる。
第三者割り当て増資と処分に伴う4社への割り当て株式数は表1のとおり。
表1:4社への割り当て株数
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また、増資後の発行済株式総数は1億8998万7968株となり、同じく資本金は545億5030万896円となる。増資後の大株主構成は表2のとおり。
表2:増資および自己株式処分後の大株主構成
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2005年3月31日現在の株主名簿を基準に本件新株式発行及び自己株式処分の予定株式数を加算して作成
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TBSは放送開始から50周年にあたる節目の年を迎え、「これまで民間放送のテレビは最強の娯楽媒体であり続けてきた」としたうえで、「この数年、インターネットやモバイルによる通信が情報源として大きく伸びるとともに映像の配信にも進出し始めており、当社としても情報と映像の伝送の分野における新たな対応なしには、企業の発展と放送業界における地位の確保は厳しいと危機感を強めている」と自社の置かれている状況や立場を見ている。
そして、今回の資本・業務提携に至った背景について、「映像コンテンツの供給源である放送会社は、現在も圧倒的な量と質のコンテンツを制作し、こうした機能を将来にわたって堅持することを機軸としながらも、既存の枠組みや方法にとらわれずにコンテンツ供給のビジネスチャンスを広げる可能性がある新規事業に参画し、デジタルコンテンツビジネスのリーディングカンパニーとして生まれ変わるさらなる決意を固めて新たな投資に向かうことにした」と説明した。
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