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市民ジャーナリズムの普及で起こるメディア革新--ダン・ギルモア氏 - (page 2)

藤本京子(編集部)2005年10月11日 15時00分
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--米国ではブログがジャーナリズムの一部としてとらえられつつありますが、やはりジャーナリスト的な視点で書かれたブログでない限り、「ブログ=ジャーナリズム」には成り得ないということでしょうか。

 ブログがジャーナリズムとなることもありますが、すべてのブログがそうだとはいえません。ただ、ブログは私も大好きですし、人々が自分の好きなことを発言する機会があるのはすばらしいと思います。われわれジャーナリストも、一般市民の声から学ぶことは多いですしね。

 私がGrassroots Mediaで伝えたいことは、ブログだけでなく、ポッドキャストやビデオ、写真などの手段が、すべてジャーナリズムに結びつくチャンスがあるということなのです。

 インターネットに限らず、すべての情報についていえることですが、「シグナル」となる情報もあれば、「ノイズ」も散乱しています。情報発信が容易となったインターネットの世界では、数多くの情報の中でいかにうまくノイズとシグナルを見分けるかが重要となってきます。また、私の役目は、人々にシグナルを生み出す方法を伝えることです。

 ただし、私はニュースやジャーナリズムとして有益な情報はシグナルの中にあると言っているだけで、ノイズが悪いとは言っていません。多くの人は個人的な情報発信でノイズを生み出していますが、そこにはジャーナリズムとは全く別のレベルですばらしいコミュニケーションが成り立っています。ノイズという言葉が否定的な意味を持つわけではないということは理解しておいてください。

--では、どうすればジャーナリズム的なシグナルを生み出すことができるのでしょう。

 トレーニングする必要がある場合もありますが、ブログは優れた学びの場を与えてくれます。例えば、間違った情報を掲載すれば、コメントで指摘されます。公平な視点で意見を述べていない場合も、反論が来るでしょう。そこで視点を改めるかもしれません。フィードバックを得ることにより、ブログ執筆者と読者の間にコラボレーションが生まれるのです。こうしたコミュニケーションに参加することで、自然にシグナルを生み出す技術が身に付くと思います。ブログのみならず、ポッドキャストやビデオでも同じことです。一般市民が自ら情報発信する場を持ち、フィードバックを得ることで学べ学べます。

 将来的にはなるべく多くの人にジャーナリズムに関わってもらい、それが世間の人々に重要な情報として受け止められるのだということをわかってもらいたいと思っています。市民ジャーナリズムに関することは、一市民としてコミュニティにより密接に関わることにもつながりますから。

--掲示板についてはどう思いますか。日本には2ちゃんねるという巨大な掲示板があり、さまざまな情報が飛び交っています。

 2ちゃんねるの管理人である西村博之氏には数年前に会ったことがあります。あの掲示板はすごいですね。あの掲示板の内容がジャーナリズムだとは思いませんが、あの中に有益で面白い情報がいくつもあることは知っています。

 掲示板に限らず、ユーザーが作り出すコンテンツにおいて課題となる点は、信頼できる情報とそうでないものを見分けることです。もちろん、新聞やテレビでも信頼性が問題となる場合がありますが、こうしたメディアは信頼性について敏感ですから、ある程度は信頼のおける情報源として受け止めることができます。

--掲示板は匿名性が高いことが特徴ですが、ブログは特定の個人が情報を発信する場であるために、匿名性が薄れます。しかし日本では、ブログも匿名で投稿する人が多いようです。アメリカのブログは実名を出している人が多いようですが、匿名性についてはどう考えますか。

 私は日本文化のエキスパートではないのではっきりしたことはわかりませんが、日本人はアメリカ人ほど個人主義ではないという印象を受けます。どちらかというと、日本では個人よりコミュニティを重視するのではないでしょうか。それがブログの匿名投稿にも影響を与えているような気がします。

 ただ、日本でも個人主義的な面が出てきたように思えます。起業家が増えてきたことも、その一面ではないでしょうか。こうした動きを見ると、将来的には実名でブログを書く人も増えるような気がします。

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