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市民ジャーナリズムの普及で起こるメディア革新--ダン・ギルモア氏

藤本京子(編集部)2005年10月11日 15時00分
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 シリコンバレーの日刊紙「San Jose Mercury News」の名物コラムニストとして知られていたダン・ギルモア氏が9月末に来日した。同氏が2004年に執筆し、2005年8月にその翻訳本となる「ブログ 世界を変える個人メディア」(原題「We the Media: Grassroots Journalism by the People, for the People」)が日本で刊行されたことによるものだ。

 同氏は1994年から2004年まで務めたSan Jose Mercury Newsを退社した後、2005年に市民ジャーナリズムの普及を目的とした企業Grassroots Mediaを設立している。新会社を設立したのは、市民ジャーナリズムに大きな可能性を感じたためだという。

 ギルモア氏に、市民ジャーナリズムとは何なのか、市民ジャーナリズムが普及することによって何が変わるのかを聞いた。

--名物コラムニストとして活躍していたSan Jose Mercury Newsを去って、Grassroots Mediaを立ち上げた経緯について教えてください。

 San Jose Mercury Newsに在籍中に「We the Media」を執筆したのですが、本について数々のフィードバックを受けたことで、一般市民による草の根的なジャーナリズムが生まれつつあることを実感し、私はそこにチャンスを感じました。新しい分野で仕事ができるのではないか、私の持つ従来のジャーナリズムのスキルを新しい分野に生かせるのではないかと思い、10年後に今を振り返って、このチャンスを生かさなかったことを後悔したくなかったのです。

--Grassroots Mediaでは何をしようとしているのでしょうか。現在の主な活動内容について聞かせてください。

 Grassroots Mediaの目標は、草の根ジャーナリズムを普及させることです。多くの一般市民にジャーナリズムを理解してもらい、ニュースを発信できる可能性についてわかってほしいと考えています。まだプロジェクトは始まったばかりですが、講演や本の執筆をはじめ、市民ジャーナリズムに取り組んでいるビジネスパートナーやボランティアなどと共に活動を進めています。大きなものを作るというよりは、有益なものを作り上げたいと思っています。

--有益なものとは、具体的にどのようなものなのでしょう。また、市民ジャーナリズムで有益なものを作り上げるには、どうすればいいのですか。

来日中にギルモア氏は、ブロガーとコミュニケーションを取る場を設けた

 多くの人が知りたいと思う情報は、有益な情報といえます。市民ジャーナリズムとして成立するには、単に個人の日記を公開しているだけではだめなのです。

 一般市民が報道陣と同様に有益な情報を提供するには、まずジャーナリズムとは何なのかを理解しなければなりません。ジャーナリズムとは、単に自分の意見を述べることではないのです。そこには、調査や取材、事実確認などのプロセスが関わっています。また、中立的な立場で物事を見る必要があります。つまり、報道機関で個人の意見を発言するのであれば、独立した立場であるか、もし企業などに所属している場合はその立場を明確に示さなくてはなりません。

 このように、ジャーナリストとして情報を発信するには、ジャーナリストでなければ意識しないようなしきたりがあります。もちろん、普通に生活している限りそのようなことを意識する必要は全くありませんが、できるだけ多くの人にこうしたジャーナリスト的な考えを体験してほしいと思います。一般市民でも、身近に起きた事件を報道するなど、ジャーナリズムに関わる機会は存在し、それが有益な情報として受け入れられることも多いのですから。

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