次世代検索は「ユーザーの求める“答え”を直接表示」--ビル・ゲイツ氏

 マイクロソフトは、米Microsoft会長兼チーフソフトウェアアーキテクトであるビル・ゲイツ氏の2年ぶりの訪日にあわせ、「ビル・ゲイツ来日講演〜次世代検索を語る」と題した講演を6月27日に開催した。

 講演では同社が既に提供を始めている検索技術に加え、まだ開発中の未来の検索技術も披露した。冒頭、ゲイツ氏は、Microsoftが検索分野の研究開発に、他社を上回る巨額の投資をしていることを明かした。検索技術は「ここ4、5年で検索技術は驚くほど進化したが、まだまだ発展途上だ」と指摘。ある調査で、ユーザーが欲しい情報を得るまでに平均で11分かかっていたという報告を紹介し、「今日の検索は、まだ宝探しのようだ」と語った。

「単なる検索結果のリンク表示では意味がない」と検索サービスについて語るビル・ゲイツ氏

 「検索をするユーザーは、リンクの一覧を求めているのではなく、『答え(ANSWER)』を求めている」。マイクロソフトが検索で目指すのは、ユーザーの要求に従ってあつらえた「答え」の提示だ。そのためには、ユーザーが何を知りたがっているのか、今どこにいるのかといったことも考慮しなければならない。

 では、今日の同社製品は、どこまでその理想に近づいているのだろう。

MSN R&Dセンターに新設されるインフォメーション・サービス開発統括部の部長に就任する浅川秀治氏

 「MSNサーチ」、「MSNサーチツールバー」、「Windowsデスクトップサーチ」の3製品が、浅川秀治氏によって紹介された。浅川氏は7月1日付けでMSN R&Dセンターに新設されるインフォメーション・サービス開発統括部の部長に就任する人物だ。

 まず、紹介したのは「Windowsデスクトップサーチ」だ。ゲイツ氏が「リーダーシッププロダクト」と呼ぶデスクトップ検索の機能で、次世代OS「Longhorn」でも標準搭載される技術だ。タスクバーから表示されるメニューに検索キーワードを入れると、すぐに同じメニューに検索結果が現れる。ここでメニューにある「デスクトップ検索」というボタンを押すと、より大きなウィンドウで検索結果を確認できる。

 「我々の検索結果は、既にこの段階で大きく違うのがわかると思います」と、浅川氏はGoogleのGoogle Desktopの画面と比較しながら紹介を進めた。Google Desktopが結果へのリンク一覧なのに対して、「Windowsデスクトップサーチ」では、情報のサムネールやOffice文書であれば書類の中身もインライン表示できる。特定の種類の文書だけに検索結果を絞り込むといった機能もある。

Googleの検索結果と比較しながら優位性を強調

 つづいて紹介したMSNサーチは、エンカルタの機能を融合したことで、例えば「日本の人口」といった検索をすると、ウェブ情報の結果一覧の上に、「クイックアンサー」として「総人口1億2741万7240」と答えが出てくる(「日本の人口1990」として1990年当時の人口を調べることもできる)。ここで、MSNサーチツールバーを使えば、検索した情報にハイライトなどを加えることも可能になる。

start.comを説明するクリストファー・ペイン副社長

 また、クリストファー・ペイン副社長が登壇し、同社が開発中の技術をいくつか紹介した。

 まずは、ベータテスト中の「start.com」というサービスだ。はじめはキーワード入力欄だけのシンプルなページ構成だが、メニューから、星占いや天気予報、スポーツニュースなどといった情報を追加し、各情報をマウスのドラッグ操作で自由に再配置して、自分だけの情報ポータルサイトを構築できる。


start.comでは、ドラッグで各情報を自由に配置できる(赤枠)

 ペイン氏は、続いて米国版「MSN Search」で「シアトルマリナーズのイチロー選手」を検索するデモを行なった。するとウェブの検索結果から、打率などの詳細が書かれたイチロー氏のプロフィールが「クイックアンサー」として表示された。ただし、打率の表示がおかしく、ペイン氏はこれはすぐに修復されるバグだとしていた。

 今度は自分の名前を入れ「LOCAL」という検索を行なうと、ペイン氏の故郷に住む同姓同名者の住所や電話番号が表示された。電話帳に似たこの機能は「ピザ屋」などの店舗を探すのにも使える。

 だが、さらに先進的だったのは、やはり開発中の自然言語検索の機能だろう。

 「ビル・ゲイツの結婚相手は?」と自然文をタイプして検索すると、検索結果の上に「Suggested Answers(答えの候補)として「Melinda French Gates」と表示される。その右には、Gates氏の本名や相棒のPaul Allen氏の名前も候補として表示されたが、これは「MSR AnswerBot」という技術を使って、検索結果の中から出現頻度が多い共通のキーワードなどを見つけ出し、答えとして提示する機能だ。「マイクロソフト社研究開発部門の所長は?」という問いでもズバリと答えを出した。

 また、ペイン氏は開発中の「Virtual Earth」という地図情報や航空写真地図と連動した地域検索サービスも紹介した。

 同サービスは住所やスポット名から周辺地図や航空写真を表示できるだけでなく、近くの駐車場などのローカル検索結果の情報をオーバーレイ表示できるのが特徴だ。さらに見つけた情報を、そのままMSNのブログサービス、「MSN Spaces」に投稿することもできるなど、他サービスとの連携も充実している。

Virtual Earthのデモ。駐車場や飲食店などの情報をマッピングして表示される

 新技術のデモの後、ゲイツ氏は再び登壇すると、「日本市場には独自のニーズがある」とした上で「日本のMSNでも研究開発を強化する」と語り、本社の研究開発部門や、パートナー企業にも投資をしており、こうした投資の結果が結びつくことで、より早く優れた検索サービスを提供できるようになる、と講演を締めくくった。

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