ワシントン州レッドモンド発--Microsoft会長のBill Gatesは米国時間19日、現代のオフィスワーカーがあまりにも情報過多になっているとする一般的な考えに反論した。
Gatesは大手企業の経営者らを前に講演し、営業成績や会社の予算といった分野では、さらに多くのデータが必要とされていると語った。
Gatesは、Microsoftが毎年開催する「CEO Summit」の基調講演で、「このような話が出ても、実際には情報過少の問題が存在する」と語った。「われわれにはもっとたくさんの情報が必要だ」(Gates)
Gatesによると、問題の原因は、情報が存在しているにもかかわらず、それが1カ所にまとまっていないこと、そして今日のソフトウェアではそれらの情報を意味のある形で見ることが簡単にはできないことにあるという。
「情報を探し出さなくてはならない・・・情報がさまざまなシステムに分散しているのだ」(Gates)
Gatesは予測通りOffice 12に関する計画の概要も明らかにした。同製品は、Microsoftを代表するデスクトップソフトウェアの次期バージョンで、来年後半に発売されることになっている。
Gatesは、情報の流入があまりに速く、適切な評価ができないものとして、電子メールを挙げた。
「重要性が低いにもかかわらず、新しく着信したものが注目されがちだ」とGates。その結果、何でも「ひとまとめ」にするか、膨大な時間を割いて多数のフォルダを作成することになるという。「これでは書類整理係と化してしまう」(Gates)
Gatesによると、Microsoftは個人の電子メール管理を容易にするほか、企業が各種の情報をしかるべき立場の人間だけで共有できるようポリシーを設定し、法律に沿った形でそれを実現できるようにする技術の開発にも取り組んでいるという。
Gatesはまた、検索技術の問題にも多くの時間を費やして言及した。同社は、ライバルのGoogleやYahooなどに追いつくべく、この分野に多大な投資を行ってきた。ただし、同氏によると、改良の余地はまだかなり残っているという。
ここ最近、典型的なウェブ検索にはかなり時間がかかるようになっている。Gatesは、必要な情報が検索結果の半分にも満たなかった数年前と比べれば、それでも検索の機能や所要時間が大幅に改善されたことを認めた。だが、同氏はウェブ検索が依然として「宝捜しの状態」にあり、検索結果の上位にならんだいくつかのリンクに目的の情報が含まれていることを願っているだけだ、とも付け加えた。
「われわれは、ユーザーがダイレクトな答えを得られるところまで到達したいと真剣に考えている」(Gates)。この点に関して、MicrosoftのMSN Searchはすでにいくつかの点でそうした機能を実現していると同氏は述べ、実際に「世界で2番目にGDPが大きな国はどこだ(Which country has the second-largest GDP?)」「ほうれん草に含まれるはカロリーは("How many calories are there in spinach?")」といった質問をデモしてみせた(すると「日本」そして「1カップあたり7カロリー」といった答えが表示された)
Gatesはまた、Microsoftが今週公開した「Windows Desktop Search」も披露し、自らのメールのなかから「Steve」という言葉を含むメッセージをすべて表示させたり、それらのメールに添付された文書まで探し出せるところを示すデモを行った。「確かにこれは、われわれが大型リリースの中間に追加したなかで最も興味を引く機能だ」
企業のネットワーク内部にある情報を見つけだすことは、もう1つの重要課題だが、しかしこれは従来のウェブ検索をつかったやり方ではうまくいかない分野だと、Gatesは述べた。
社内ネットワーク用の検索ソフトを開発するにあたっては、財務データや人事情報など機密性の高い情報が特定の人間以外にも見られてしまわないかという点が主な懸念材料になる。また、通常のウェブ検索では、対象となるページへのリンク数に基づいて結果をランク付けしているが、同氏はこうしたシステムが「企業内ネットワークという環境ではうまく機能しない」点を強調した。「(企業内ネットワーク上にある文書には)それほど多くのリンクが張られていない」(Gates)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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