1980年代に青春時代を過ごした人のなかには、Adam Curryという名前を聞いてピンとくる人も多いのではないだろうか。Curryは音楽専門チャンネル「MTV」の人気VJ(ビデオジョッキー)だった。
Curryは1994年にMTVを辞め、欧州に移住したが、彼の名はむしろ、ポッドキャスティング(Podcasting)という新たな領域を切り拓いた人物として、記憶されることになるかもしれない。
テレビの世界を去った後、Curryは複数のインターネットベンチャーに関わった。そして昨年、今度はポッドキャスティングの顔--おそらくは最も知られた顔として、表舞台に帰ってきた。ポッドキャスティングとは、何千人ものアマチュアが自分のラジオ番組を持ち、ウェブ上でリスナーを集めることを可能にした技術だ。
Curryにとって、ポッドキャスティングは単なる趣味ではない。衛星ラジオ放送局「Sirius Satellite Radio」は先ごろ、ポッドキャスティングを利用した新番組「PodShow」をスタートさせた。Curryはこの番組の司会者として、放送界に復帰することになった。番組の内容は、世界中の優れたポッドキャストを紹介するというものだが、Curryはこの番組を通して、似たり寄ったりのラジオの世界に一石を投じようとしている。
しかし、ポッドキャスティングは本当にラジオ革命の一翼を担うものなのだろうか。それとも、すぐに忘れ去られてしまう、見せかけの変化にすぎないのだろうか。先頃、Curryは英国ギルフォードの自宅から、CNET News.comのインタビューに応じた。彼はこの自宅から、自分のポッドキャスト「Daily Source Code」を配信している。
--先日「Daily Source Code」を少し聞かせていただきました。この番組には大勢のファンがいるそうですね。
ええ、私自身とても気に入っています。この番組を始めてから、もう1年近くになります。
--しかし、ポッドキャスティングは少し過大評価されているのではありませんか。ダルース在住のチューブソックス・マニアのうんちくを、わざわざ聞きたいと思う人がいるのでしょうか。
ほとんどの人にとっては退屈でしょうが、チューブソックスの話を聞いたり読んだりすることを、おもしろいと思う人もいるかもしれません。ポッドキャストには他にもさまざまな種類のものがあります。
--ブログがこれほど盛んになったのは、それなりの文章を書ける人が多かったからです。しかし、他人を引きつける話術となると、少しハードルが高いのではありませんか。
「The Osbournes」を観たことはありますか。
--観たことはありませんが、話を聞いたことはあります。
では、現実の生活をビデオカメラに収めて放映する、いわゆる「リアリティ番組」を観たことはありますか。
--リアリティ番組はいろいろと観ました。「Supernanny」とか、「The Bachelor」とか・・・ 。
この手の番組を初めて見たときは、興味をそそられたのではありませんか。今までに見たこともない内容ですからね。「何だ、これは。これまでにない新しいやり方だ」と思ったはずです。リアリティ番組が映し出すのは現実の人々の生活です。「Cops」(本物の警察の活動を放映する人気長寿番組)が登場したときも、同じような感覚がありました。あれは衝撃でした。Copsの映像は視聴者を釘付けにしましたが、現実をそのまま写しているわけではありません。われわれが見ているのは、あくまでも編集後の映像です。ですから、1台のカメラで特定の人物を追い、その映像を編集なしで流すリアリティ番組をおもしろいと感じたのです。
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