われわれは20年間、主に米国のラジオ番組を聞いてきましたが、どれも似たり寄ったりのものばかりです。どの土地に行っても、トップ40のヒット曲を流す放送局があり、軽妙なトークを流す放送局があり、ニュースを流す放送局がある。個性など、まったくありません。
--公共ラジオのNPR(National Public Radio)はどうですか。NPRはきわめてまっとうですが、ラジオ放送局としては異色の存在です。
そうでしょうか。私はそうは思いません。人々はまっとうではありません。それに、NPRをつけていると日がな一日、寄付金をねだられることになります。NPRがまっとうだとしても、他と大きく違うわけではない--どんぐりの背比べです。NPRのフォーマットは変わっていません・・・他局と比べると、まっとうだと思えるかもしれませんし、事実そうかもしれませんが、番組や放送局の形式という意味では似たようなものです。
ところが、われわれは今、ふたたび「何だ、これは」という感覚にさらされています。これまでにない新しいもの--荒削りで、洗練されているとはいえないが、おもしろそうな何かが登場しつつあるのです。
--ポッドキャスティングに相当入れ込んでいるようですね。どういう経緯で、技術やインターネットの世界と関わるようになったのですか。
これまでも技術の世界とは関わってきましたし、もともと興味もありました。初めて無線送信機を作ったのは14歳の時です。電波がどこまで届くかを知りたくて、母親のクルマで近所を回ったことを覚えています。その後、ひょんなことからラジオの世界で働くようになりましたが、私の仕事は技術者ではなく、マイクの前で話すことでした。15〜16才の頃は電器店でアルバイトをしました。コモドール64に先立つ、初代のコモドールが発売になったのもこの頃です。これは興味深い製品でした。このアルバイトを通して、私は技術に親しんでいきました。
--あなたはポッドキャスティング技術の開発にも参加していますね。あなたを「ポッドキャストの父」、ポッドキャストを発明した人物と評するメディアもあります。Podcastingを発明したのは自分だと思いますか。
Podcastingのどの部分を指しているかによります。私は先達の活動に大いに助けられてきましたし、ポッドキャスティングという言葉を考えたのも私ではありません。しかし、パーツをつなぎ合わせたのは私です。当時はDave Winerなど、多くの人々が開発した技術がばらばらに存在していました。
--Dave Winerといえば、彼は最近、自分のブログで、ポッドキャスティングに関するあなたの功績を批判する発言をしています。最近、彼とはうまくいっていないのですか。
彼にはポッドキャストのプログラムを書いてほしいと頼んだのですが、応じてもらえませんでした。そこで、自分で書くことにしたわけですが、私はプログラマーではないので、プログラムの書き方を学ばなければなりませんでした。これには時間がかかりました。完成したプログラムは、オープンソースとして公開しました。これは私が書いたプログラムであり、iPodderという名前を付けたのも私です。iPodderは既存のさまざまな技術をベースにしています。このプログラムは多くの人々、特にDave Winerと折り合いの悪かったソフトウェア開発者の間で注目を集めるようになりました。彼らはiPodderをもとに、自分のバージョンを開発するようになり、私は彼らのために「Daily Source Code」を立ち上げました。きっと彼らの気に入ると思ったのです。
これはとても楽しい作業でした。しばらくすると、「自分も○○という番組をやっている」といったメールが届くようになったので、他の人たちの番組も宣伝するようになりました。そうこうしているうちに、Danny Gregoireという人物が「ポッドキャスティング」という言葉を考えつき、この呼び名が定着したというわけです。
--ポッドキャスティングはビジネスになりますか。
もちろんです。私はこれをビジネスにするつもりです。
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