「セールスフォースは次世代のコンピューティングサービス」:サンからセールスフォースに移ったSueltz氏

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年04月28日 13時52分
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 IBMやSun Microsystemsを経て今年2月にSalesforce.comのテクノロジーとマーケティング、システム部門のプレジデントに就任したPatricia Sueltz氏。同氏は「Salesforce.comのビジネスは、真のネットワークコンピューティングを利用したサービスで、まさに私がこれまで重点を置いてきたことを集約したもの」と目を輝かせる。Salesforce.comに入社して以来初来日となる同氏は、来日にあわせて開催されたエグゼクティブフォーラムの興奮もさめやらぬ様子であった。

Salesforce.comのテクノロジー、マーケティング、システム部門プレジデント、Patricia Sueltz氏

 26日に開催されたエグゼクティブフォーラムでは、セールスフォース・ドットコムが同日リリースしたSalesforce.com Spring '04についての説明も行われた。同社では年に3回バージョンアップを行っているが、Spring '04バージョンで新たに追加されたのは、製品カタログの管理を簡易化できる商品タブや、契約情報のトラッキングなどができる契約タブ、サポートの質問に対する回答のナレッジベースを構築するソリューションタブなど。また、グループウェア機能を備えたグループカレンダーなども追加されている。「Salesforce.comを使えば、もうグループウェアは必要ない」とSueltz氏はいう。

 また、アカウント名やコンタクト先といったタブを独自に作成したり変更したりできるカスタムタブ機能や、ビルダーやウィザードなどでプログラミングすることなしにカスタムメイドアプリケーションの作成が可能となるSalesforce.com Studioが登場したことも特徴だ。さらにSueltz氏は、前バージョンにて追加されたものだが、自身が「大変便利で活用している。どうしても見せたい」として、ダッシュボード機能についてもデモを行った。これは、すべてのデータをグラフ化して表示するもので、売上達成度、業界別売上高、キャンペーンでの売上などがリアルタイムにグラフに反映されるようになっている。

 Salesforce.com Spring '04と同時に発表されたのは、sforce 3.0だ。sforceは、顧客の利用している独自のアプリケーションとSalesforce.comのアプリケーションを、Webサービスを通じて統合できるようにするもの。統合可能なアプリケーションは、SiebelやSAPなどのエンタープライズアプリケーションからデスクトップアプリケーションまで幅広い。

 Salesforce.comの製品に対する強い思いを伝えずにはいられないといった様子で語り続けるSueltz氏だが、実は現在のポジションへのオファーに対し、最初からイエスと言っていたわけではなかったという。Sunでサービス部門のトップを務め、同部門にて同社の売上の3分の1にも値する年間36億ドルを稼ぎだしていたのだから無理もない。だがSueltz氏は、「(Salesforce.com創立者兼社長の)Marc Benioffに会い、彼が3つのV、つまりVision(ビジョン)、Value(価値)、Value Proposition(価値命題)を持ち合わせている人物だと感じ、Salesforce.comに興味を持った」という。

 その後Sueltz氏は、米国の大型連休中にプライベートな時間を使い、Salesforce.comの無料トライアルバージョンにサインアップする。「1日経たずして、担当者から的確なメールが来た。私がSunに務めているということで、Sunと過去にどのような取引があったのかなどを引き合いに出し、スムーズに話が進むようになっており、Salesforce.comのデータ管理のすばらしさに驚いた」とSueltz氏。同氏が現在のポジションに就くきっかけとなった出来事だといえる。

 CRM製品というと、競合がひしめく分野でもある。このことについてSueltz氏に聞くと、Siebel、SAP、PeopleSoftといったところが大きな競合といえるだろうとしながらも、「これまでのCRM製品はインターネット対応ではなく、個別のサーバで個別にサービスを提供するという形式だった。Salesforce.comでは次世代のコンピューティングサービスとしてCRMを提供しており、ネットワークを最大限に利用することで、ひとつのサーバで多数の顧客に対応することができる」と述べる。

 またSueltz氏は、「競合製品が存在するのは良いことだ。競合が存在するからこそ顧客も教育される」と述べている。同氏が「競合企業とはCoopetition(競合しつつ協力しあう)の関係になる」というのはこのためだ。実際同社のsforceでは、競合製品との統合を実現している。さらに同氏は、「本当に戦わなくてはいけないのは、競合製品とではなく、いまだCRMのメリットを理解していない顧客だ」という。現在ワールドワイドで9500社の顧客を抱えるSalesforce.comだが、未知の顧客に到達し、顧客層を広げることこそ、同社にとって最大の課題なのかもしれない。

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