月額制CRM(顧客関係管理)ソフトウェア市場の覇権を巡り、戦いの火蓋が切って落とされようとしている。
米Salesforce.comと米Salesnetは17日(米国時間)、米Siebel Systemsが米UpShotを買収するとのニュースを受け、UpShotの顧客取り込みを狙ったキャンペーンをそれぞれ開始した。Siebelが、2年の空白期間の後、先日市場に再び参入したことで、これらの企業はウェブ経由のサービスとしてCRMソフトを提供する市場で、四つ巴のライバル関係となっている。CRMソフトウェアは、企業が製品の販売、マーケティング、サービス提供を合理化する際に、この支援を行うよう設計されたもの。
SalesforceとSalesnetは、それぞれが割引、無償データ移行サービス、UpShotのソフトウェアから自社の類似プログラムへ移行する企業向けのトレーニングなどを提供している。このライバルからの顧客獲得作戦は、比較的規模は小さいものの高成長が期待できるニッチなビジネスソフトウェア市場で、競争が高まりつつある現状を浮き彫りにしている。米Yankee Groupのアナリスト、Sheryl Kingstoneは、「この市場での競争が、非常に激しくなった」と話している。
Kingstoneによると、この競争には、売上以外に、2人の非常に攻撃的な経営者同士のエゴの問題も絡んでいるという。Siebelの最高経営責任者(CEO)であるTom Siebelと、SalesforceのトップであるMarc Benioffはともに、非常に競争意識の高い企業体質で知られる米Oracleで一定の地位に登り詰めた後、それぞれの会社を興した経歴の持ち主だ。
Kingstoneは、BenioffとSiebelの対抗意識について、「収益主導ではなく感情主導で動いている」と語っている。
感情の部分は確かに大きいようだ。UpShotのCEOで、11月の買収完了後にはSiebelのバイスプレジデントになると見られるKeith Raffleは、SaleforceとSalesnetが開始した顧客取り込みキャンペーンについて、「自暴自棄の感がある」と語っている。Siebelが世界最大のCRMソフトウェアベンダーであるため、ライバルたちはビビッているというのが、同氏の考えだ。昨年16億4000万ドルの収益をあげたSiebelには、市場を一気に独占してしまうだけの資金がある、とRaffleは加えた。
その一方で、Salesforceの幹部らは、SiebelのオンラインCRM市場に対するアプローチに厳しい疑問を投げかけ、同社が同時に数多くの方向へ進もうとして混乱に陥っていると述べた。Siebelは、Upshotと直接競合する製品を年末までに投入するとの計画を先ごろ発表しておきながら、それでも今回の買収を決めた。Siebelによると、将来的にはこれら2つのシステムを統合していくが、別々の独立した製品としても無期限にサポートおよび保守を継続するという。だが、Salesforceのマーケティング担当バイスプレジデント、Brett Queenerは、この点について、「腑に落ちない」としている。
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この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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