米Salesforce.comは米国時間10日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催した同社のユーザー/デベロッパーカンファレンスにおいて、同社の契約制サービスの一環として、sforceというアプリケーション開発用ユーティリティをアップデートしたと発表した。これにより、顧客は独自にアプリケーションを開発し、Salesforce.comのサーバ上でこれを運用、さらにSalesforceの提供するアプリケーションと独自開発アプリケーションに、一度にアクセスできるようになる。
Salesforce.comの最高経営責任者(CEO)、Mark Benioffは基調講演のなかで、sforce 2.0について、Salesforce.comをカスタマイズして社内システムと統合したいと考える企業を念頭に置いたものだと語った。
「社内のデスクトップPC、ノート型PC、そしてPDAから、このサービスをサーバとして利用し、データベース、ドキュメントや情報を管理する」ためのものだと、Benioffはsforceについて説明した。
Benioffによると、この新サービスを実現するためにはSalesforce.comの基本アプリケーションを徹底的に見直す必要があったという。
「我が社はsforce上で運用できるように、Salesforce.comのアプリケーションを書き直した。米Borland、米BEA、米Microsoft、あるいはJavaなど、顧客は好きなツールを使ってアプリケーションを開発でき、そして開発が終わったら、今度は我が社が代わりにその運用を行う」(Benioff)
Sforce 2.0によって、Salesforce.comを新たな分野へ進むことになる。顧客は、同社が3年前の創業時から提供してきたCRM(顧客関係管理)ソフト以外にも、salesforce.comの利用内容を幅広く拡張できるようになる。
「sforce 2.0を使えば、我が社の提供するサーバおよびサービスを使って、CRMとは一切関連のない全く新しいアプリケーションも開発できる。医療関連企業が処方箋管理ソフトを追加したければ、それも可能だ。顧客の開発したコードは、我が社のサーバーでホスティングする」(Benioff)
Salesforceと、他の各種アプリケーションを統合する機能は、多くのユーザーが指摘していた同社のホスティングビジネスモデルの大きな問題を解消してくれる。あるIT企業幹部は、「我々は(Salesforce.comの現行ソフトを)他のどんなアプリケーションとも接続することができない。データベースにきちんとアクセスするもできず、また使用中のOracle Financialsとも統合できないので、結局は何度も繰り返しデータを入力することになる。だが、これは本来不要であるべきものだ」と語った。
しかし、Salesforce.comのソリューションは、まだ全ての顧客からの要望に応えているというわけではない。匿名希望の別の顧客は、「我々が抱えている大きな問題の1つが、使用する容量に応じた従量制の課金方式だ。我が社がsalesforceの提供する機能をきちんと利用するためにはファイルの添付が必要だが、それを圧縮保存する機能もないので請求額が上がってしまう。長く使えば使うほど請求額が上昇し、コストも上がってしまうのだ」と述べている。
なお、sforce 2.0は12月の初めから提供が開始される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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