自社の最高級メインフレームが衰退の運命を辿らないことを顧客に納得してもらおうと努力しているIBMだが、最新の市場調査によると、同社の取り組みは一定の成果を上げているという。
市場調査会社のGartnerによると、価格が25万ドル以上のサーバ市場における、2003年第4四半期のIBM製メインフレームの売上は、前年同期比30%増の18億ドルだった。これに対し、同一価格帯のサーバの市場全体の売上は8%増の49億ドルだった。
Gartnerによると、同四半期におけるIBMのこの価格帯の製品の売上は、メインフレームの売上が総売上の大半を占めており、総売上28億3000万ドルのうち18億ドルをメインフレームの売上が占めた。一方、同一価格帯のHewlett-Packard(HP)の売上は前年同期比9%増の9億600万ドルだったが、Sun Microsystemsの売上は16%減の4億2000万ドルとなった。
zSeriesという製品名で知られるIBMのメインフレーム製品は、数十年の歴史を持つ同社の他の製品群と同様、柔軟性、通信能力、さらにハード/ソフトウェアの障害に対する耐性の高さに定評がある。しかしメインフレーム製品は高価な上、SunやHP、さらにIBMまでもが自社のUnixサーバ製品にメインフレーム機能を組み込んでいるのが実情だ。
かつてメインフレームは1つだけ独立した存在だったが、IBMはメインフレームの他との関連性を維持するため、データ/ストレージネットワーキング標準やSunのJavaソフト、さらにLinux OSといった主流のコンピューティング技術を、次々とメインフレームに追加している。
IBMは、「メインフレームは絶滅した恐竜のようなもの」と明言したライバル企業各社の言葉を皮肉り、同社のz990メインフレームを「T-Rex」と名付けた。このT-Rexは2003年5月にリリースされ、同年10月には、プロセッサをそれぞれ24基と32基搭載したアップグレード版が発売された。
Gartnerのアナリスト、Mike McLaughlinによると、2003年のメインフレームの年間総売上は前年比20%増の68億ドルだったという。「IBMのT-Rexが暴れ始めた。IBMはT-Rexの開発段階を終え、同社の"オンデマンド"マーケティングに合わせて、同システムの売上を伸ばしているのだろう」とMcLaughlinは述べている。同氏によると、このオンデマンド戦略は、代金の払い過ぎを強いられることなく、メインフレームのメリットを享受できる点で、顧客の満足度がより高いという。
IBMは2003年第四半期に、ドイツの銀行業界向けにコンピュータサービスを提供するSparkassen Informatikに、自社の最高級メインフレームz990を20台販売し、それが同四半期の大幅な売上増につながった。この契約には他にも、同社のUnixサーバ「pSeries」やEnterprise Storage System(ESS)製品の「Shark」の売買契約も含まれており、IBMに向こう4年間で総額1億ドルの売上をもたらす大型契約である。IBMによると、HPやSun、さらにストレージ大手のEMCもこの入札に参加したという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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