「ウォール街のアナリストらはJavaの価値を理解していないようだが、Javaには巨大な市場価値がある。Javaの意味をここで伝えたい」。米Sun Microsystemsソフトウェア部門のエグゼクティブバイスプレジデントJonathan Schwartz氏は18日、都内にて開催されたJava Technology Conference 2004の基調講演に登場し、このように語った。「Javaは単なるテクノロジーではなくなった。これはもはや開発者のためだけにあるのではなく、あらゆる場所に存在する万人のためのものだ」
米Sun Microsystemsソフトウェア部門エグゼクティブバイスプレジデント、Jonathan Schwartz氏 | |
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Schwartz氏は、昔は通話するためだけに存在していた携帯電話が、Java搭載機の登場で可能性を広げたことを指摘する。同氏によると、現在Java搭載の携帯端末は200機種を越えており、Java搭載機用に数々のコンテンツが生まれ、ビジネスチャンスが広がったと語る。「Java搭載の携帯電話が登場したことで、コンテンツの可能性が広がった。これにより、世界の携帯通信事業者のうち77社でARPU(1人あたりの月間売上高)が向上したと述べている。また、昨年1年間に世界の携帯電話ユーザーが使った金額は30億ドルにものぼる。これは巨大な数字だ」(Schwartz氏)
Schwartz氏は、携帯電話市場で起こっているこの状況をPCの世界でも再現したいという。現在60%のPCは出荷時にJavaが搭載されており、Java情報ポータルサイトであるjava.comからのダウンロードも2004年1月には月間700万に達しているというが、「Javaの特徴はWrite Once, Run Anywhere(一度書けばどの環境でも動く)であるにも関わらず、ほとんどのPCはWindows環境となっているのが現状だ。これではJavaを使う意味も薄れてしまう」とSchwartz氏は述べ、SunがリリースしたJava Desktop Systemを紹介した。
Java Desktop Systemは、Windowsに似たユーザーインターフェースを持ち、Microsoft製品との互換性を持つ「セキュリティの高いデスクトップシステム」(Schwartz氏)だ。米国内で1人あたり年間100ドルで提供されているこのシステムは、オープンソースコミュニティと共に開発されたもので、現在11の言語に対応した版が用意されている。日本でのリリースは今年前半になる予定とのことだ。
Looking Glassで実現する次世代の3Dデスクトップシステム(クリックすると拡大します) | |
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Schwartz氏はまた、同社が昨年秋からLooking Glassというプロジェクト名で取り組んでいる次世代3Dデスクトップシステムも披露した。同システムでは、デスクトップ上のアプリケーションが文字通り鏡像のように立体的に写り、アプリケーションを斜めにして奥行きのあるインターフェースにしたり、アプリケーションを裏返したり半透明にしたりすることができる。現在同社では、同システムの提供方法を含め、3D機能を使って何ができるかなど戦略を検討中だという。Looking GlassのAPIは、Javaコミュニティサイトであるjava.net上で公開される予定だ。
同じくSunが力を入れているものとして、昨年日本でも発表された基幹業務ソフトウェアのJava Enterprise Systemがある。アプリケーションサーバやポータルサーバなどを含む同システムは、米国にて従業員1人あたり100ドル、日本では同1万1000円で提供されているが、Schwartz氏は「この料金体系は画期的だ。従業員の数だけで課金し、追加料金は発生しない。すでに同システムのユーザーは11万人にのぼっている」と語る。
最後にSchwartz氏は、冒頭に述べた言葉をくり返した。「Javaの意味はウォール街では理解されないかもしれない。だがJavaが認知されればされるほど、Javaコンテンツは増加し、Java技術者にとって、そして企業にとってのビジネスチャンスも広がっていく。Javaに注力することで、巨大マーケットを相手にできるのだ」(Schwartz氏)
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