サンフランシスコ発-- Linuxをはじめとするオープンソースソフトウェアは、いまやコンピュータ業界全体に浸透しているが、米Sun Microsystemのソフトウェア担当幹部は、この動きについてある程度の現実的姿勢をとるよう求めている。
Sunのソフトウェア担当バイスプレジデント、Jonathan Schwartzは5日(米国時間)、LinuxWorld Conference and Expoで行った基調演説の中で、オープンソースソフトはプログラマーたちを魅了したり、斬新なアイデアを次々と生み出す点では優れているが、全ての問題を解決できるわけではない、と語った。
「オープンソースコミュニティについて私が最も懸念していることは、コミュニティ内でオープンソースが何か特別なものと捉えられている点だ。しかし、実際はそうではない」とSchwartz。同氏は、顧客との関係で問題となるのは、あくまで製品の品質であるとし、これだけ多くの顧客を魅了し、最終的にSunがそのような製品の発売に踏みきったのも、Intelサーバに搭載されたLinuxの質が優れていたからであって、Linuxがオープンソースだったからではない、と語った。
Sunはこれまで、しばしば声高に考えを主張するオープンソースコミュニティに対して、是とも非ともつかない対応をしてきている。同社は長年Linuxの採用を避け、自社のUNIX系OS「Solaris」を優先的に扱ってきた。また、部外者に完全な変更権を与えずに同社製Javaソフトのコードを公開しようと計画し、批判を浴びた。そのいっぽうで、Microsoft Officeと競合する「OpenOffice」や、高性能コンピューティング用の「Grid Engine」、さらにプログラミングツール「NetBeans」といった、いくつかのオープンソースソフトをリリースしてきてもいる。
「活動内容を見て、我々を判断してほしい」とSchwartz。「我々とオープンソースコミュニティとの関係は極めて良好だと考えている。我々はこれまで多大な貢献をしてきた」(Schwartz)
しかし、SunがSolarisを捨てLinuxに乗り換えることは今後もないだろう。同社は10年前にも、世間からMicrosoftのWindowsを採用するよう強く促されたが、その時も自社製品を捨てはしなかった。「『Solarisを捨てLinuxを採用せよ』と言う人ばかりで、我々はまさに10年前と同じ皮肉な局面にいる。しかし我々がSolarisを捨てることはない」とSchwartzは述べた。
Schwartzの考えでは、LinuxはIntelか、あるいはAMD製プロセッサを搭載したサーバで使用するのが最適だと付け加え、Linuxへ移行しようとする米IBMの取り組みをけなし、IBMのメインフレームやその他のハイエンド向けシステムには、より高いレベルのソフトを搭載する必要があるとも主張した。
「メインフレームの表面を飾り立てても、結局それがメインフレームであることに変わりはない。たとえOSのコストが無きに等しいとしても、(ソフトウェアの)ライセンスに多額の資金を費やさなくてはならない」(Schwartz)
しかしSunでは、自社の最も貴重な技術の1つであるJavaについても、オープンソース戦略の採用を検討している、とSchwartzは記者との会合の中で述べた。Javaで構築されたソフトは、多くの異なるコンピュータ上で動作が可能で、コンピュータごとにいちから作り直す必要がない。
Sunのソフトウェア担当最高技術責任者(CTO)John Fowlerは、Javaをオープンソース・プロジェクトにするための議論の口火を切った。これについて、Schwartzは「革新と流通の促進を目的とした」Sunの取り組みの一環だと説明している。「開発者コミュニティにとって、オープンソースの主な魅力は、多くの人々がそれを改良したがっているという点だ。オープンソースは、ほかの何にも増して、革新を誘発する可能性を秘めている」(Schwartz)
もっとも、Javaのオープンソース化はすぐには実現しそうもない。MicrosoftがオープンソースになったJavaを採用し、とてつもなく強力な流通能力を駆使して、結局その長所を台無しにしてしまうとの危険があるからだ。「我々のほうがWindowsよりもたくさんのデスクトップOSを出荷した暁には、本気でデスクトップ用Javaのオープンソース化を考えるだろう」(Schwartz)
Sunは今後LinuxとOpenOfficeの2本立てで、Microsoftに攻撃を仕掛けていく。なお、この2つは、同社の計画するデスクトップ向けLinuxプロジェクト「Mad Hatter」の重要なコンポーネントである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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