米Sun Microsystemsは、企業向けデスクトップ分野でのLinuxの普及率を上げようと、米MicrosoftのWindowsオペレーティングシステム(OS)とOfficeスイートに対抗する同社製品、Java Desktop Systemsを値下げした。
同社は3日、ドイツのベルリンで開催中の「SunNetwork 2003 Conference」で、Java Desktop Systemの管理、サポート、ツール、サービスを、2004年半ばまで50%割引で提供すると発表した。
Java Desktop Systemは通常、従業員1人につき年間100ドルの料金がかかる。顧客がすでにJava Enterprise Systemを持っている場合、料金は年間従業員1人につき50ドルだ。
この期間限定の割引により、両システムは2004年6月まで半額となる。つまり、Java Desktop Systemsは50ドルになり、Java Enterprise Systemがすでにある場合には25ドルとなる。Java Enterprise Systemの値下げ後の価格は、年間従業員1人につき50ドルだ。
Java Desktop Systemは、ユーザーが、Star OfficeとXimianという完全にLinuxベースのインターフェースから、Windows環境に接続できるようにするソフトウェアだ。Java Enterprise Systemには、ポータルサービスとインスタントメッセージ、電子メール、ディレクトリ機能が含まれている。
アナリストの話では、同社は先頃中国で受注したJava Desktop System関連の大規模契約を利用し、Java Desktop SystemがMicrosoftのWindowsよりもコスト効率の良い本格的な選択肢であることを、ヨーロッパや米国の潜在顧客にアピールしようとしているという。
Sunは、Java Desktop Systemによって、企業デスクトップでのLinuxの地位を確立する真のチャンスが得られるが、それはこのパッケージの機能が優れているからではなく、非常に安い価格でMicrosoft環境との互換性が得られるためだと、米RedMonkのシニアアナリスト、Stephen O'Gradyは述べている。「この製品は実に高機能で、企業が望んでいることをほとんど実現している。しかし最も重要なのは、Windowsベースの作業環境との相互運用性が非常に優れている点だ」(O'Grady)
Linuxを使ったソリューションは、機能の数ではMicrosoftに劣るが、しかしMicrosoft製品にある機能の多くも実はそれほど利用されていないと、O'Gradyは指摘した。
「XimianとStarOfficeは、Microsoftのデスクトップ機能に必ずしも匹敵するものではない。しかし同時に『本当にこうした数々の機能がみな必要なのか』という問い直す必要がある。我々にとって、その答えはノーだ。人目を引く特徴的な機能という点で、Microsoft製品に敵うものはないが、ただし誰もがそうした機能を求めているわけではない」(O'Grady)
先月ラスベガスで開かれていたComdexトレードショーで、Sunの最高経営責任者(CEO)Scott McNealyは、同社が中国政府の支援する業界団体China Standard Software Co.(CSSC)との間で契約を交わしたことを発表し、CSSCがJava Desktop Systemを使用することになると述べていた。
「われわれは2004年にも、50万〜100万という数のJava Descktop Systemを出荷することになるだろう。この契約が、われわれを地球上でNo.1のLinuxデスクトップ企業にする」(McNealy)
もっとも、この動きが有望な中国市場での対Microsoftを狙った戦略的なものであることは、McNealyも認めており、「このデスクトップ用ソフトウェア(供給契約)で、唸るほどの大金を稼げるというわけではない」と発言している。
この中国関連の契約を勝ち取ったことで、デスクトップ向けLinuxが充分使い物になると証明されたとして、Sunは同製品にこれまで以上に自信を持つようになったと、O'Gradyは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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