沖電気工業は28日、2004年3月期第3四半期の決算を発表した。同期の売上高は1470億円(前年同期比368億円増)、営業利益は33億円(同152億円増)、経常利益は11億円(同147億円増)で、純利益は9億円の赤字となった。第1四半期から第3四半期の累計業績は、売上高が前年比674億円増の4283億円、フリーキャッシュフローが同726億円増の311億円など、大幅に改善している。
2004年3月期通期の業績予想は、通信事業が好調なことから、2003年10月に公表した数字より売上高が50億円増の6500億円、営業利益が15億円増の215億円としている。為替の影響についても、第4四半期にはほぼ為替予約済みなため、為替変動による営業損益の影響は軽微だとしている。同社は国内の従業員数を900名削減するとしていたが、すでに計画を上回る1000名を削減済みで、12月末の従業員数は1万7300人だという。
沖電気工業 取締役副社長 前田肇氏 | |
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分野別に見た通期の予想売上高は、情報分野が3600億円、通信が1050億円、デバイス関連が1300億円、その他550億円となっている。情報分野の内訳は、金融ソリューションが1500億円、情報ソリューションが885億円、プリンタが1215億円で、同社取締役副社長の前田肇氏は「新紙幣対応ATMへの更新などで、金融ソリューションの売上高が伸びた。プリンタ事業の売上増加は、欧米におけるLEDカラープリンタが好調なためだ。いっぽう情報ソリューションについては、カーエレクトロニクス事業撤退などの影響で減少している」という。
通期の売上予想が1050億円となっている通信事業の内訳は、エンタープライズネットワークが270億円、キャリアネットワークが780億円だ。前田氏によると、キャリアネットワークが大幅売上増となったのは、NTTグループ向けの地域IP網システムなどへのインフラ投資が進んでいるためで、エンタープライズネットワークの伸びがそれほど顕著でないのは、企業がまだIPテレフォニーに対して迷いがあるためだとしている。だが、「IP市場の引き合いは多い。VoIP関連市場は年平均30%の成長率という調査もあり、来期以降に伸びていくだろう」としている。
デバイス関連部門の通期売上予想の内訳は、光コンポーネントが20億円、システム/ロジックLSIが885億円、ASメモリが240億円、ASDRAMが155億円。ASメモリ、ASDRAM共に2003年3月期より減少しているが、これは東北地震の影響を受けたためだという。光コンポーネントも同じく減少しており、これについて前田氏は、光通信市場の回復が遅れているためだとしている。いっぽう、システム/ロジックLSIは大幅に売上が拡大しており、欧・米・中・韓のGSM市場に向けた携帯電話の音源LSIや、大型液晶モニターおよび液晶テレビ向けのドライバLSIなど、特色のあるLSI群が売上をけん引しているという。
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