米Red Hatは、2004年前半にも、Javaソフトウェアという新たな市場に進出し、米IBM、米BEA Systems、米Sun Microsystemsらがひしめくアプリーションサーバ分野に食い込もうとしている。
同社は現在、自社のLinuxディストリビューションを、サービス、サポート付きで販売している。だが、同社は今週、Red Hat Application Serverと呼ばれる新しいソフトウェアのベータ版をリリースした。このソフトウェアは、2004年前半に最終版のリリースが予定されていると、同社広報のLeigh Dayは語ったが、但し価格はまだ未定だという。
アプリケーションサーバは、さまざまのサーバ上でプログラム--通常はSunのプログラミング言語、Javaを使って書かれたもの--を走らせるための標準的な手段を提供する。Javaアプリケーションサーバの機能は、J2EE(Java 2 Enterprise Edition)の仕様によって定められているが、この仕様に沿ったプログラムはウェブページの表示、データベースからの情報取得、他のサーバへのメッセージ送信といったタスクを確実に処理できるようになっている。
BEA SystemsとIBMは、現在のところアプリケーションサーバ販売で独占的シェアを誇り、またSun MicrosystemsとOracleも積極的にこの市場への食い込みを図っている。
今回Red hatが発表した新製品は、同社が提唱するOpen Source Architecture(OSA)をベースにした最初のソフトウェアの1つとなる。同社はOSAの下で、Linuxをベースにした新モジュール群の販売を計画している。OSAベースの他の製品には、同じグループ内の複数のサーバを互いに結合させるクラスタリングソフトウェアや、Eclipseプロジェクトをベースに作られたプログラミングツールがある。
だが、Red Hatにとってアプリケーションサーバ市場への参入は、Linux市場の時ほど簡単にはいかないだろう、と米Current Analysisのアナリスト、Shawn Willettは指摘する。
Red HatがLinuxを手にUnix陣営に襲いかかった頃には、同社のLinuxはUnixよりも安価であり、またそのオープンソース哲学により、顧客や企業各社はLinuxの方向性決定に、自らの考えを反映させることができた、とWillettは説明する。だが、アプリケーションサーバ分野では、こうしたアドバンテージも希釈されてしまう。
「Linuxが立ち上がった頃とは市場の状況が違う。価格上の優位点はないし、またJ2EEはすでにオープンなプロセスを採用している」(Willett)。さらに、Sunのアプリケーションサーバは無償でに提供されている、と同氏は付け加えた。
予想されたとおり、Red Hat Application Serverは、ObjectWebコンソーシアムが開発するJonas(Java Open Application Server)と呼ばれるJavaソフトウェアを使用している。Jonasは、米JBoss GroupのJBossおよびApache Software FoundationのGeronimoという他の2つのオープンソースアプリケーションサーバ製品と競合している。
たとえアプリケーションサーバ自体を無料で提供したとしても、オープンソース製品にはまだビジネスチャンスが存在する。「これまで顧客と話してきて、JBossや他の製品に対する大きな関心があることが分かった。皆がそうした製品をサポートする会社を探している」とWillettは説明した。
Red HatとJBoss Groupは以前、Red HatのアプリケーションサーバにJBossの人気の高いJavaソフトウェアをバンドルしようと、話し合いを進めていたことがあった。だが、JBoss幹部の話では、サポートサービスから得られる売上の分け前に関して、両社の条件が折り合わなかったために、この話し合いは頓挫したという。JBoss Groupも、Red Hatと同じく、自社のソフトウェアを無償で提供し、企業顧客からコンサルティングに関するサービス料を得るというビジネスモデルを採用している。
Javaアプリケーションサーバにとって、J2EEに関するSunからの認定を得ていることは、重要な点である。ApacheとObjectWebは12月に入って、2004年にこの認定を得るべく協力していると発表した。Red Hatのアプリケーションサーバには、Jonas以外のコンポーネントも含まれる。TomcatのパッケージはいくつかのタイプのJavaプログラムを動かすことや、Webページを生成することができる。またStrutsソフトウェアは、アプリケーションサーバの異なるコンポーネントを連携することが可能だ。またRed Hatの同サーバソフトにはオープンソースのデータベースソフト、MySQLと連携を取るためのソフトも含まれる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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