いつもは激しく争うライバル関係にある米IBMと米BEA Systemsが、それぞれのJavaソフトウェア製品に存在する技術的差異の排除に向けた協力を進めている。
両社は米国時間5日、自社の製品に追加する3つの仕様を発表した。この追加で、それぞれのJavaアプリケーションサーバを使う顧客は、これまでより簡単にプログラムを動作させることができる。これらの変更は、来年出荷予定のBEAのWebLogicおよびIBMのWebSphereの次期メジャーリリースで完全に実装されると見られている。
IBMとBEAはJavaの標準化を目指す業界団体であるJava Community Processにこの仕様を提出し、このガイドラインを他社も無償で利用できるようにするという。
Javaアプリケーションサーバ市場トップの座を巡って競い合う両社は、既にJavaのほかの技術仕様に加え、ウェブサービス標準でも協力を進めている。市場調査会社のGartner Dataquestによると、IBMとBEAは2002年にJavaアプリケーションサーバ関連売上高の3分の2を獲得している。
両社の幹部によると、両社のJavaサーバソフトウェア向け共通技術基盤を増やす取り組みは、顧客やISV(独立系ソフトベンダー)の要望に応えたものだという。
Java 2 Enterprise Edition(J2EE)標準は顧客がどのソフトウェアベンダーのアプリケーションサーバ上でもJavaアプリケーションを動かせるようにするものだが、実際には製品間で大きな差がある。たとえば、パフォーマンスチューニングツールなどのアドオン製品を開発するISVでは、IBMのWebSphere用とBEAのWebLogic用に2つのバージョンを用意するのが一般的だ。
共通のツールがあれば、ベンダーがどのアプリケーションサーバでも動作するソフトウェアを開発しやすくなり、またISVは両製品に対応したアドオンを容易に素早く構築するための手段を得ることになると、両社の幹部は話している。
今回追加される3つの技術仕様は次の通り。XMLベースのファイルシステムやリレーショナルデータベースなど、複数のデータソースからデータを取り出す一般的な手法を提供するService Data Objects、スケジューリング処理のジョブ実行メカニズムであるTimer for Application Servers、そしてタスクの並行処理を設定するWork Manager for Application Servers。
IBMのソフトウェアグループで新技術担当のバイスプレジデントを務めるRod Smithによると、同社では、この仕様を来年登場予定のWebSphereの次期メジャーリリースで実装する計画だという。また同社では来週、Service Data Objects用の開発者向けキットをリリースすると見られている。
あるアナリストは、IBMとBEAが今回発表した提携に、米Sun Microsystemsが含まれていない点が注目に値すると述べている。Javaの主要な支持者であるSunは、Java標準化プロセスの舵取りをしており、またJavaブランドをコントロールしている。だが、Gartner Dataquestの調査結果によると、同社のJavaサーバ製品の市場シェアはひと桁台に留まっており、BEAとIBMに大きな後れをとっているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」