米ノベル、Linuxで生まれ変われるか?

 米Novellにとって、Linuxは単なる人気のOSではない。NetWareユーザーが減少の一途をたどる同社にとって、Linuxはまさに命綱である。

 Novellは、米国時間4日、2億1000万ドルの現金で独SuSE Linuxを獲得する計画を発表し、Linux市場における存在感を大いに高めた。また、米IBMが同社に5000万ドルを投資することも併せて発表した。この金額はNovellの市場価格のおよそ2%にあたる。

 Linux OSの主要ディストリビュータであるSuSE Linuxの獲得は、Novellにとって、この8月に獲得した別のオープンソースソフトの開発元、米Ximianに続くものだ。また、今回の買収は、Novellが今年はじめに行った、Linuxに関するいくつかのネットワーキングソフトウェアサービスを提供するとの発表に続くものでもある。

 これらの一連の動きは、ここ3年、黒字転換を目指して苦戦しているNovellの長期見通しを改善するはずだと、同社幹部は4日に述べた。Novellは同社のNetWare OSやGroupWiseメッセージ送信ソフトウェアを使用する比較的少ないユーザーベースにこだわり続けるのではなく、企業で高まるLinux人気にあやかろうとしているのだ。

 Novell最高経営責任者(CEO)のJack Messmanはこの日、サーバとデスクトップPC上の両方でLinuxを提供する、同社の能力を強調した。「Linuxは、もはや周辺部にとどまる必要はない。ビジネスの中心で、またデータセンター分野で活躍できる」と、同氏は述べている。

 来年1月に最終的にまとめられるSuSE Linuxの買収によって、Novellは欧州でもっとも人気の高いLinuxディストリビューションを手に入れることになる。また、今回の獲得によって同社は、米国やその他の国々で、一層積極的にLinuxを販売できるようになる。これで同社のラインナップは、Linuxのデスクトップおよびサーババージョンのほか、Ximianの買収を通して獲得したり、ZENworks製品ライン用に社内で開発した、Linuxベースのマシンを管理・構成するための数多くのユーティリティが揃えることになる。

 Linux OS、アドオンの管理製品、そしてNovellのサポートおよびトレーニングサービスを組み合わせることで、同社は企業ユーザーに、米MicrosoftのWindows OSに基づく製品に代わる、現実的な選択肢を提供できるはずだ。

 「すべての製品がオープンソースであるにもかかわらず、Novellは一通りのソフトウェアを完全に揃えることになる。このことは、プロプライエタリな製品で期待できるのと同じレベルのサポートを受けることができるという安心感を、企業に与える。Linux戦略は、Novellに再び事業に集中する機会と、そして成長に対する大きな希望を与える」と、米IDCアナリストのDan Kuznetskyは述べている。

 Linuxを積極的に推す最近のNovellの動きは、同社が体制を立て直し、持続的な収益を得ようとしていることの現れといえる。Novellは、PC業界の草分け的存在であり、PCネットワーク向けのネットワークOS市場で、一歩先を進んできた。1990年代には、Microsoftの標的となり、NetWareのユーザーベースは、Windows NTに徐々に奪れていった。OSユーザーを失ったNovellは、自社のディレクトリでユーザーIDやログイン情報を管理するネットワーキングソフトウェア分野で、その強さを発揮し始めた。

 Novellは、2001年に技術コンサルティング会社、米Cambridge Technology Partnersを手に入れた。この買収の折りに、Jack Messmanは最高経営責任者(CEO)として迎えられた。また、昨年同社は、JavaアプリケーションとNovellソフトウェアとの相互接続性を改善する目的で、Javaサーバソフトウェアとツールを開発する米SilverStreamを買収している。

 米America's Growth Capitalの証券アナリスト、Philip Rueppelによれば、SuSE Linuxの買収によって、Novellは、長期的な戦略としてLinuxに真剣に取り組んでいる自社の姿勢を示せるという。なお、この戦略のなかには、Linuxに移行する既存NetWareユーザーの支援などが含まれている。同社に堅実な戦略と現実的な製品プランがあるとユーザーに保証を与えることが、Novellにとって最大の課題の1つだったと、同氏は述べている。

 しかし、一連の企業買収を行い、完全なLinux製品を揃えたとしても、同社にはまだ、利益をもたらすビジネスモデルを開発したことや、Linux市場で生き残るのに必要な内部改革を行ったことを証明する仕事が残っていると、米調査会社New Rowley Groupのアナリスト、Tom Rhinelanderは指摘する。

 「いまでも利益を上げることに苦戦しているNovellが、今回の買収で、商売の難しいLinuxビジネスに更に深入りすることになる。彼らは、これまでのNetWareで有名だった会社から、Linuxを真っ先に押す、サービスを売り物にした会社へと、気持ちを切り替えなければならない」(Rhinelander)

 米Davenport & Co.アナリストのDrake Johnstoneは、Novellが2004年には黒字になると予想している。Novell CEOのMessmanは、SuSEの買収について、今年の両社の売上に大きな影響はないが、長期の売上見通しの改善にはつながるだろうと述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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