金融サービス会社は、CRM(Customer Relationship Management)ソフト導入の先駆けであり、いまもその多くが新しい製品を自社のアプリケーションでフル活用するための道を探っている。
米GartnerG2の研究者らがまとめた新たな報告によれば、金融サービス業界はCRMソフト活用のための新たな手法開発において、再び最先端に立つようになるという。これらの企業は、CRMが一般企業で使われるようになる前から、これを導入していた最も早くからの利用者であるため、エンタープライズ・アプリケーション分野を前進させるのに適した立場にあると、GartnerG2のアナリストKimberly Collinsは説明している。
「商業銀行や投資銀行のような金融サービス業界の一部の企業は、大きなリスクを取り、初期投資を行った。後から追いかけてくるライバルからのリードを保つために、こうした企業では市場に登場しつつある新たなアプリケーションの利用を検討する必要がある」(Collins)
GartnerG2では、金融サービス業界向けの新たな技術の温床となりつつあるCRMアプリケーションとして、次の8つを挙げている:「コールセンター・テキストマイニング」「イベント・トリガリングとプロファイリング」「リード・マネジメント」「オプティマイゼーション(最適化)」「マーケティング・リソース・マネジメント」「シナリオ・プランニング」「ダイナミック・プライシング・ツール」「パートナー・リレーションシップ・マネジメント(PRM)」。
こうした最新のCRMソフト群が登場することで、企業ユーザーは自社内やチャネルパートナーに向けて、CRMソフトをもっと活用するよう勧められるようになると、Collinsは考えている。また、GartnerのアナリストScott Nelsonによれば、CRM業界トップの米Siebel Systemsのようなベンダーが提供するパッケージソフトを利用する代わりに、多くの金融サービス企業では、自ら独自のアプリケーションを構築しようとしている。
「企業は自社でCRMのアプリケーションを開発している。出来合いのパッケージソフトを使うよりも、ずっとよく個別のビジネスモデルに合ったプログラムを自分たちでつくれると考えているからだ」(Nelson)
多くの金融サービス企業では、出来合いのCRMソフトを購入して、これを実装したりカスタマイズしていくなかで身に付けたスキルを利用して、新しいアプリケーションを開発しているが、これらは新規口座の開設やクレジットカードのキャンセルなど、処理に重点を置いたオペレーション向けのアプリケーションだと、Nelsonは説明している。
アナリストの話では、多くの企業が、ベンダーの提供するCRMシステムの制約に捕らわれて自由が効かないといった事態に辟易しており、あるソフトウェアを他のアプリケーションと連動させるために根気のいる統合作業が必要なシステムなど使いたくないと考えているという。
いっぽう、Onyx Softwareのような会社が、顧客企業が自らツールを開発するのに役立つ技術を売り出し始めているが、これは将来CRMベンダーにとって脅威となり得るものだと、Nelsonはいう。
Onyxの「組み込み型CRM」アプリケーションは、開発者が特注のシステムを構築できるようにするコンポーネントとして機能する。さらにNelsonは、SiebelのようなCRMメーカーはこれからも従来のアプローチを取り続けていくだろうが、その一方で、すでに独SAPのような統合アプリケーションベンダーが、自社製品のユーザーに対して、パートナーと協力するためのツールをカスタマイズするのに役立つツールを提供していると述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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