日立製作所の子会社、日立コンサルティング社は25日(米国時間)、アウトソーシング事業部隊を新たに発足させ、北米市場に進出した。
日本の大手コンピュータメーカーのコンサルティング子会社で、ダラスに本拠地を置く同社は、新たに設立したアウトソーシング・ビジネス事業部において、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)、拡張アプリケーション・アウトソーシング、資源の最適化の3分野に焦点を絞って、北米市場で展開すると発表した。今年初め、日立の幹部はアウトソーシングが同社の主要な成長分野の1つになると述べていた。
北米アウトソーシング市場では、米Electronic Data Systems(EDS)、米Hewlett-Packard(HP)、米IBMなど、知名度のあるコンサルティング企業がITインフラと戦略を管理する契約を次々と結んでおり、その勢いは当分収まりそうにない。これまでのところ、日立コンサルティングは主に日本市場で実績を上げており、約500件のアウトソーシング契約を成立させたとしているが、その中には20億ドル規模の契約を結んだUFJ銀行などの例がある。
日立の幹部は、IBMのような大規模なエンタープライズ市場のリーダーの目にとまらないような、中規模のアウトソーシング契約を狙いとすることを示唆している。
日立の発表によると、北米市場におけるアウトソーシング事業のうち、BPO分野では、特定の垂直市場に対し、調達、財務、会計、人事、CRMなどを提供する。
またアプリケーション・アウトソーシングでは、インフラ管理ソフトなどの商用アプリケーションおよびカスタムアプリケーションをターゲットとする。資源の最適化分野では、顧客のシステムにおけるベンダー関係管理や調達ビジネスの契約獲得を狙う。
アナリストらは、中規模ITアウトソーシング市場においてハイエンド分野を狙うという日立の決断は、米Computer Sciencesなどの業界リーダーとの直接対決を避けつつ、北米市場において名声を築くための良い戦略だろうとしている。米調査会社Gartnerのアナリスト、Allie Youngは、日立にとって、すでにある程度確立された企業と競合することは、かなり厳しいだろうと述べる。だが、中規模の契約を狙うことは、長期的にみて、成果をもたらすだろう、と続ける。
「日立が北米市場を理解するまでには、時間を要するだろう。米国企業が日本に進出する場合と同じだ」とYoung。「日立にとって最大の課題は、差別化要因を見つけ出すことだろう。現在の市場では、これは重要な課題で、日立がどうやって差別化を図るかはまだ明らかではない」(Young)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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