中級者以上向けの「タイムライン」を使った編集モードもあり、BGMや効果音も、実際に動いている映像を見ながら、加えていくことができる。完成したアニメーションは、QuickTime形式やFlash(SWF)形式での出力ができるほか、PICMOから直接YouTubeにアップロードすることも可能となっている。
PICMOの機能や、アニメーション作成のチュートリアルについては、YouTube上の「PICMO basicチャンネル」で動画として公開されている。
PICMOのユニークなUIの背景には、いくつかの新たな技術が存在している。「ピン留めによる形状操作」のインターフェースは、東京大学大学院、情報理工学系研究科准教授の五十嵐健夫氏の研究をベースとしたものだ。
五十嵐氏は、2次元上でフリーハンドで描いた画像をリアルタイムに3Dモデル化する「Teddy」などの研究で知られる。
今回のPICMOに盛り込まれた新たなUIは、「両手でぬいぐるみをいじるようにコンピュータの中の絵を動かしたい」という動機から開発されたものという。画像の変形に関する従来のアプローチとしては、空間マッピングによる変形や物理シミュレーションなどがあるが、いずれも変形後の形が不自然になったり、計算に多くの時間がかかったりするといった課題があったという。
PICMOで用いた「ピン留め」のアプローチでは、オブジェクトの内部を三角形要素に分割し、それぞれの三角形のゆがみが最小になるようにすることで、自然かつ高速な変形が可能になったとのことだ。この、三角形の総歪み量の最小化アルゴリズムについては、現在特許申請中という。
なお、PICMOのベースとなったプログラムは、VZ editorの作者としてして知られる兵藤嘉彦(c.mos)氏のプログラミングによるものだ。
PICMOは、本日より、製品公式サイト「PICMO.com」で、先行ダウンロード販売(ライセンスキー形式)が開始されている。パッケージ版の販売は、2010年1月初頭に開始される予定。価格は、ダウンロード版(ライセンスキー)の価格が9800円、パッケージ版が1万2800円。
うるまでるびが14年間、ウェブでの更新を続けているイラスト日記「今日の気分」では、実際にこのツールを使ってイラストを作成しており、プロ向けのツールとしても十分に使える機能を備えているとする。また、同ソフトの海外展開も計画中という。
「PICMOを、プロから、これまでコンピュータで絵を描くことを考えていなかった人たちにまで使ってもらい、そこから新しいコミュニケーションが生まれることを期待したい」(うるま氏)
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