無料ビジネスを成立させるための方法として、広告と物販の2つが存在する。広告ビジネスを成立させるためには、企業サイトを携帯電話に誘致することが不可欠である。
日経パソコンが電子情報技術協会(JEITA)の協力のもとで行った調査から、上場企業の92.2%がパソコンサイトを開設している一方で、モバイルサイトはわずか15.4%にとどまっていることが分かった(「日経ネットマーケティング」12月号より)。
この数字をみて、数年前と比較すると意外と増えたと筆者は感じた。ただ、成長の余地が76.8%もあることも分かる。
新たな広告主となる企業のサイトを誘致しないと、モバイルインターネットの広告主は従来通り、消費者金融やカツラ、エステ等のコンプレックス解消型と呼ばれる特定の業界や、コンテンツプロバイダーがほとんどを占めてしまう。これでは市場が広がらない。企業サイトのモバイル誘致は今後のモバイルインターネットの発展に不可欠な要素だ。
逆に企業側からマーケットを考察してみると、ここまで利用されているモバイルインターネットをマーケティング上避けては通れない状況に来ている。特に今後の消費を担う若年層へのアプローチを怠っていると、生涯のブランドバリュー構築に大きな欠損を引き起こすことになりかねない。
ここに敏感に反応したのは飲料等の消費財メーカーだ。主たる顧客であるところの若年層へのアプローチに携帯電話を活用することには積極的で、カルピスの「水玉タウン」や、カップヌードルの日清食品が手掛ける「FREEDOM-PROJECT」などが好例である。
カルピスは同社のプロモーションサイトとして「水玉タウン」という携帯電話向けの会員サイトを構築。企業紹介やテレビCMの配信のほか、クイズやプレゼント企画などさまざまなコンテンツを用意した。さらにサイトへのアクセス数に応じて会員をランク付けし、再訪を促す取り組みを行った。
日清食品もモバイルサイトで動画コンテンツの配信や待ち受け画像の提供などをした。さらにパッケージの蓋の裏側にモバイルサイトに誘導するためのQRコードを印刷し、カップヌードルができあがるまでの3分間や食事中などにモバイルサイトにアクセスするよう促した。
これらの企業はユーザーが日々楽しめる常設のモバイルサイトを開設することによって、コーポレートブランディングや商品の詳細説明を行い、自社ブランドのバリューを高め、潜在顧客の掘り起こしに一定の成果をあげた。
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