社団法人電気通信事業者協会(TCA)の調べによると、2007年12月末で携帯電話の契約件数が1億件を突破した。日本の人口が1億2770万人であることを考えると、全体の約8割、乳幼児と高齢者を除くとほぼ1人1台携帯電話を持っている計算になる。若年層に至っては、着信用と通話用で携帯電話を使い分けている人もおり、1人2台というケースもまれではないようだ。
総務省が行った2005年の通信利用動向調査によれば、携帯電話を含む携帯端末からのみインターネットを利用している人がパソコンのみの人を上回った。日本のインターネットビジネスにおいて、携帯電話はなくてはならない存在となっている。
かねてより、「モバイルインターネットはパソコンインターネットの発展形態と相似形を描きながら進化する」というのが持論であるが、そういった意味では2006年から2007年にかけて、その持論を裏付けるサービスが続々と登場した。それが第3世代(3G)の高速通信端末とパケット定額制の普及、検索エンジンのキャリアポータルへの導入だ。
パソコンインターネットの歴史を振り返ると、NTTの夜間定額制を皮切りにプロバイダー各社が定額制を導入したことで、現在では24時間定額制が普通となった。また、Yahoo! BBが牽引したことでブロードバンド通信が国内で爆発的に普及。さらに、Yahoo! JAPANやGoogleに代表される検索エンジンによって利便性が向上し、日本のパソコンインターネットは急速に普及した。
これらのことを考えると、現段階でモバイルインターネットにもその条件はそろったものと考えていい。2008年はこの流れが加速し、モバイルインターネットの世界が急激に進化することが予想される。
先述のTCA調べによると、1億件の契約者のうちインターネットにアクセスできるIP接続サービスに加入している件数が8728万件で、約9割がインターネットにアクセスできる携帯電話だという計算になる。また、高速通信が可能な3G端末を保有している契約者は、8376万件存在する。
高速通信できる端末を保有しているユーザーのほとんどがインターネット接続サービスに加入していると考えると、約8000万人と言う数字がモバイルビジネスを考える上でのマーケットサイズである。あらためて数字にすると驚くべき大きさだ。
料金の定額制も重要だ。高速大容量のパケット通信をするとユーザーにとって通信料金の負担が大きくなる。よって、パケット通信の定額制を普及させることは大きな意味を持つ。通信の高速化とパケット定額制が同時に実現されて初めて、ユーザーがモバイルインターネットを利用するための敷居が低くなる。
各キャリアのパケット定額制加入者数は年々増加している。2007年12月末でKDDIはWIN契約者の75%にあたる1359万人、NTTドコモはFOMA契約者の29%にあたる1195万人が加入している。ソフトバンクモバイルは、代表取締役社長の孫正義氏によれば「3G契約者の56%(約714万人)」という。パケット定額制は、特に若年層にフォーカスすると、その加入率が著しく高い。
ひと昔前に、「パケ死」(パケット通信を大量に行って多額の料金を請求されること)などという言葉が一世を風靡(ふうび)したことがあったが、パケット定額制の導入によりパケット通信料金に上限ができ、その心配も軽減されている。
パケット定額制に加入している契約者は、生活習慣の中にモバイルインターネットを使うことを組み込んでいる。このため、その利用傾向が今後年齢の増加とともに激的に変わるとは考え難い。つまり、1度パケット定額制に加入した契約者は、その後も利用し続けると予想できる。
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