次に「エレクトロニクス」のカテゴリーにて買い物をしてもらいました。被験者Bは、エレクトロニクスのカテゴリーより「IXY」(キャノンのデジタルカメラ)と検索窓に入力をしました。多数の商品が出てきたため、価格の安い順で並び替えを試みましたが、ケースやストラップなどの付属商品が並んでしまい、結局欲しいカメラを探し出すことができませんでした。
テスト中5人中5人が「検索→並び替え」という行動を取りましたが、被験者B同様並び替え機能に不満を覚える被験者が多く見られました。ロングテール提唱者のChris Anderson氏が、Amazon.comのFindability(欲しい商品をうまく見つけられるようになっているか)について問題を指摘していますが、まさにこの課題点が露呈する結果となりました。
テスト中、数人の被験者より「Amazonしか見てはいけないんですか?」と質問を受けました。「メーカーサイトや他サイトも見ながら検討する」というのが彼らの通常の買い物スタイルだといいます。いつもと同じように買い物を続けてください、とユーザーを促すと価格.comをもう1つの画面で開きながら、ショッピングをするユーザーが数名見られました。
価格.comで被験者たちがよく見ていた要素は、口コミ。その理由は、「高額商品だからこそ買う前は質問したいし、高額商品だからこそ買った後は報告(自慢)したい」とのこと。 「レビューにしても、スペックにしても、Amazonは情報が少なすぎる。本はよく買っているけれど、カメラのような高額商品をAmazonで買おうとは思わない。」とコメントするユーザーも数人いました。
以下、5人の被験者のコメントをまとめました。
本やCDは普段からAmazonで購入している被験者もおり、これら商品カテゴリーではそれほど不満点は挙がりませんでした。ただカメラやPCなど高額な商品の購入において、ユーザーは本やCDよりもずっと慎重になります。価格、評判、スペックなど、さまざまな角度から複数社の商品を比較検討するには、Amazonの情報量はユーザーにとって不十分なようです。
情報量もさることながら、スペック表が商品によってバラバラで、複数商品を比較しづらいという問題も挙げられます。スペック表の見せ方を統一する(フォーマットの共通化)などで、ユーザーニーズに応える必要がありそうです。
インターネットが普及したことで、消費者の購買行動が「AIDMA(Attention:注意、Interest:興味、Desire:欲求、Memory:記憶、Action:行動)」から「AISCEAS(Attention、Interest、Search:検索、Compare:比較、Examination:調査検討、Action、Share:情報共有)」へと進化したとはよく言われることです。
今回のテストで、ユーザーは商品が高額になればなるほど、「AISCEAS」における「Compare(比較)」「Examination(調査検討)」「Share(情報共有/感想をネットで公開)」をサイトに求めているということが分かりました。比較、検討、共有のために外部サイトへ移っていくユーザーをサイト内にいかに留まらせるか――Amazonの課題はここにあるのかもしれません。
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