今回は前回に引き続き、検索窓付き広告を成功させるポイントについてご説明したいと思います。と言っても、プロモーションを成功に導くために必要な要素は前回ご説明させていただいた通りです。
そこで今回は、この4つの要素について、実際のモデルケースに落とし込みながら、成功のポイントを見ていきたいと思います。
なお、事例として取り上げるのは、 株式会社レベルファイブが制作し、2007年2月に発売したニンテンドーDS用ソフト「レイトン教授と不思議な町」の検索窓付き広告のプロモーションについてです。念のために申し上げると、このプロモーションは筆者が関わったわけではありませんが、個人的にとても良く練られたプロモーションだと感じたので、今回事例として取り上げさせていただきます。
まずこのプロモーションについてですが、誘導広告としてはテレビCMと交通広告(電車内の額面広告)を中心に展開していたようです。
どちらの広告も、今もっとも旬なタレントの1人と言える大泉洋さんを起用しており、それが成功の一因になったと言えるでしょう。しかも、このキャスティングは単に商品とは無関係な有名人を起用するということではなく、大泉洋さんがゲームの声優を担当していたという点もポイントかもしれません。
広告慣れした消費者は広告に対して冷静な判断力をもっているので、広告に起用するタレントをただ商品のイメージキャラクターとしてだけ使い、タレントと商品の関連性がまったくなければ、商品に対してなかなか関心の目を向けてくれようとはしません。
ちなみに、米国の大手広告代理店オグルビー&メイザーの創業者で、広告業界の発展に大きく寄与したオグルビー氏は、有名人を起用した広告について、「有名人は記憶されるが、商品は忘れられる」と語ったと言われます。まさに至言です。
そうした点では、一見すると「レイトン教授と不思議な町」のテレビCMも有名人を起用しただけのCMのようでありながら、実はきちんとゲームの声優という点で、広告で露出されるタレントが商品と深く関わっていたということが大きかったのではないでしょうか。
また、ユーザーが検索したいと思う動機付けという点では、「ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー」というゲームソフトの内容に相応しく、クイズを前面に出した点も良かったと思います。テレビCMでは一部ゲーム画面が多く露出するバージョンも用意されていたようですが、放送されたほとんどのテレビCM、そして交通広告のポスターなどには、ゲーム画面やゲームの説明というものがまったくと言っていいほどありませんでした。
つまり、クイズを前面に出して、その答えはウェブにありますという流れをつくり、詳しい商品説明もウェブに託してしまうという潔さが良かったのではないでしょうか。とかく失敗する誘導広告の多くは、商品の説明をひと通り済ませた後で、最後に社名や商品名以外のキーワードが無意味に登場するというケースです。それでは、ウェブへ行ったらいったい何ができるのかが不明確で、検索する動機付けが一切行なわれていないことになります。
「二兎を追うものは一兎をも得ず」という諺があるように、広告ですべて言いたいことを言ってしまって、あわよくばウェブにも来てもらいたいという考えでは、広告が失敗する確率は高まるでしょう。
広告で伝えたいことを完結させたいのか、それともウェブへ来てもらうために広告を検索のキッカケとして活用するのかをまず最初に明確に意識すべきではないでしょうか。
続いて、キーワードについて説明します。
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